2024年7月31日
「奉行所日帳」に含まれる「洪水」の記述67 件の中から正徳2年(1712年)旧暦6月10日の洪水で、熊本町の「長六橋」が流された記録を発見
国立大学法人 熊本大学(熊本県熊本市)とTOPPAN(株)は、熊本大学が公益財団法人永青文庫から寄託を受けている歴史資料「細川家文書(ほそかわけもんじょ)」のうち、専門家でも解読が困難な難易度の高いくずし字で書かれた約5万枚の未解読の古文書(藩政記録)をAI-OCRを用いて短期間で解読し、約950万文字のテキストデータを生成することに成功した。
さらに、くずし字資料の解読システムと連動するキーワード検索システムを構築することにより、江戸時代前期の細川藩領国の、約90年間にわたるあらゆる社会的事件や統治制度の変容を示す記述を含んだ資料を即時に検索収集できるようになった。
今回解読した古文書は、合計約5万枚。くずし字AI-OCRにより作成したテキストデータに対して、今回「地震、大雨、洪水、虫、飢、疫」などの災害に関連するキーワードで検索・調査を実施したところ300件以上の記述を発見した。その中には、知られざる自然災害、疫病流行や飢饉など、歴史学・地域防災研究において重要な資料も含まれる。
今後、両者は、「細川家文書」の解読と分析を進め、江戸時代の社会史研究の通時的深化に貢献するとともに、新しく発見された災害関連の記録を活用することで、現代における防災意識の醸成、防災計画の策定等にも活用を目指す。