初の国産断裁機導入で信頼と安心感
断裁精度と安全性を両立勝田断裁機が安定した品質にも貢献
海外製断裁機を使い続けて約40年。(株)池田紙器工業(本社/熊本市南区富合町、池田和隆社長)は3年前、国産断裁機の導入を決断した。選んだのは堅牢な構造と高い安全性、そしてユーザー目線のサポート体制で評価の高い勝田制作所の断裁機だ。同社は貼り箱・印刷紙器製造で培った高い技術力を武器に、受託加工やニッチな製品開発に取り組んでいるが、勝田断裁機は「オールマイティーな断裁機」として同社の技術力を陰から支えている。今回、自動化・省力化など多様な分野に挑戦し、さらに人材育成やCSRにも積極的に取り組み、地域と共に成長を続ける同社の取り組みを取材した。

紙器加工に特化した技術力と新たな挑戦
昭和28年の創業から72年。同社の歴史は貼り箱の製造に始まり、時代の変化とともに加工機を充実させ、印刷紙器分野にも進出。箔押し、トムソン、ストレートグルアー、製函機とラインアップを広げ、貼り箱と印刷紙器の両輪で安定した生産体制を築いてきた。
そんな同社は平成初期、大口顧客の喪失という危機に直面したが、それを契機に「紙器加工のプロフェッショナル」としての新たな道を歩み始める。印刷会社から刷本を支給してもらい、加工に特化する受託型ビジネスを拡大。現在は、紙器製造と印刷物の後加工という二本柱が事業の主軸を成している。
その技術対応力は幅広い。合紙とトムソンの複合加工で、パズルやゲームチップのような厚物製品を精密に仕上げる。厚紙やプラスチックといった通常の設備では加工が難しい素材にも対応しており、設計段階から試作・加工に至るまで一貫して対応できる体制が整っている。「一般的な紙工機械では難しい案件でも、設計から製造まで自社で課題を掘り下げてカタチにするのが当社の強みである」と同社の池田隆一郎常務取締役は語る。

近年では、省力化・自動化にも積極的に取り組んでいる。例えば、従来は手貼り作業に頼らざるを得なかったポケット貼り加工を自社独自の機械開発により全自動化したことはその一例にすぎない。池田常務は「当社には設計担当者がいるので、素材の特性に応じた貼付け方法の検証や、貼る位置・形状の微調整も含め、設計段階から機械構造に反映させた」と話す。
また、同社はその技術開発力を活かし、どのような仕事にも対応していくことを心掛けることで、取引先からの信頼を得てきた。池田常務は「当社は外部にアピールするのが上手ではなく、当社に回ってくる仕事は2〜3社に断られたものも多いのだが、当社は課題を乗り越えその仕事を受けていくことで、『池田紙器工業に頼めば何とかなる』というポジションを確立することができた」と説明する。取引先の期待に、技術と工夫で応える姿勢が同社の企業価値を支えていると言えるだろう。