ページの先頭です

青葉堂印刷、カレンダー製作の「ニッチトップ」へ〜卓上カレンダー台紙の折加工・糊付を内製化

フィニッシングソリューション「KBD MOLLシステム」導入事例

 カレンダー業界トップクラスの実力を誇る(株)青葉堂印刷(本社/山形県米沢市、中村智和社長)は2024年2月、卓上カレンダー台紙の折加工・糊付に特化したフィニッシングソリューションとして、(株)光文堂が提供するフィニッシングソリューション「MOLLシステム」を導入。従来、埼玉県の協力会社に外注していた加工を内製化したことで、納期短縮や輸送コスト・CO2排出削減、品質管理の向上など、多角的な効果を実現している。

aobado250707.jpg
本社玄関にて中村社長


 同社は今年、創業70周年という大きな節目を迎えた。初代社長である中村社長の祖父が立ち上げ、尊父、叔父、そして4代目として現社長・中村智和氏がその志を継ぐ。創業当初は名入れカレンダーや名入れタオル、広告マッチ、うちわなどを手掛けていたが、昭和50年代からは商業印刷にも徐々に参入。設備導入による内製化を進めていく中、2000年にはホットメルト製本機「タンザック」を導入し、生産体制を一層強化した。

 現在は、タンザック5台、ペーパーリング3台、ツインリング5台の製本設備を有し、品種やサイズによっては8時間で5万冊近いカレンダー製作にも対応可能な体制を整えている。業界では「カレンダーといえば青葉堂」と評価されるほど、同社の卓上・壁掛けカレンダーの品質と対応力には定評がある。

 また、同社では早くから「環境に優しい印刷物づくり」にも取り組んでおり、水なし印刷、ISO9001・14001の取得、プライバシーマークやFSC認証の取得、さらに健康優良法人としての登録など、サステナブル経営を積極的に進めてきた。

 一方、オンライン販路としては、5年前に立ち上げた名入れカレンダー専用のECサイトを、顧客対応重視のインサイドセールス型にシフト。顧客からの多様な相談にきめ細かく対応する体制を築いている。

 中村社長は、「明文化された経営理念こそないが、祖父の『明るく元気な会社をつくる』という思いを社風として受け継いでいる」と話す。実際、工場取材時にすれ違う同社の社員が一様に明るい声で挨拶してくれる姿には、その姿勢が息づいていることが見てとれた。今後は「カレンダー制作におけるニッチトップ」として、確かな技術と誠実な対応力で、さらに多様なニーズに応えていくことを目指している。

タイムロスとCO2排出削減、品質向上、紙資源の無駄も減少

 同社が「MOLLシステム」を導入するきっかけとなったのは、長年にわたり卓上カレンダーの台紙の折加工を委託していた協力会社が2023年末で廃業するとの連絡を受けたことにある。代替先を探したものの、対応可能な企業が見つからず、見つかったとしても物量的に入らないなどの理由で断られるケースが相次いだ。

 そこで同社は「カレンダーのことなら何でもできる会社」を標榜する自社の姿勢を改めて見直し、これを機に内製化へ踏み切る決断を下した。それを(株)光文堂の営業担当に相談したところ、紹介されたのが「MOLLシステム」である。そして同社は2024年2月に同システムを導入。これにより、折加工・糊付を含めた卓上カレンダーのスタンド製作もすべて社内で完結できるようになり、リング製本を含むカレンダー製造工程全体を完全に内製化する体制が整った。

aobadomoll250707.jpg
「MOLLシステム」の前で 左から鈴木氏、中村社長、佐藤氏


 中村社長は「最大の効果は輸送における時間的なロスがなくなったことだ」と断言する。かつては印刷した台紙を埼玉県の協力会社に発送し、加工後に再び米沢へ戻すという行程を踏んでおり、その度に2日間のタイムロスが発生していた。これを内製化したことにより、納期対応力が格段に向上した。

 また、内製化により輸送にともなう物流コストの削減、CO2排出削減につながったことも、環境やSDGsに積極的に取り組む同社にとって大きなメリットを生む結果となった。

 さらに、品質面でも効果が表れている。中村社長は「社内の品質基準に則って作業できるようになったので、折加工しながら実際に検品できることもポイントとしては大きい」と評価。従来のように加工品を全数受け入れ後、まとめて検品し、不良を省く手間も軽減され、紙資源の無駄も減少した。「無駄なリサイクル工程も省略でき、全体の作業効率が飛躍的に向上した」(中村社長)

注目コンテンツ