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吉田印刷所、脱プラ製品「グラスパック」に新提案

箔(ハク)がつく紙袋-脱プラ×付加価値で訴求

 紙なのに中が透ける----。グラシン紙を使用した脱プラ製品「グラスパック」が、サステナブル志向の強まる市場で注目を集めている。開発したのは、商業印刷と薬袋製造を柱に「世界で一番無駄のない印刷会社」を標榜する(株)吉田印刷所(本社/新潟県五泉市、吉田泰造社長)だ。従来設備を活用しながら、紙加工の高度な技術で"完全脱プラ"の紙袋を実現。さらに本年、箔押しを施すことで「まさに商品に『ハク』がつく」(吉田社長)新たなラインアップを追加した。「脱プラ×付加価値」でブランド価値を高めるサステナブル製品として、幅広い業種に訴求していく。

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「グラスパック」をアピールする吉田社長(右)と営業の齋藤氏

独自工法が生んだ「完全脱プラ」紙袋

 2020年に創業100年を迎えた同社は、1983年より紙袋の製造・開発を開始し、病院・調剤薬局向けの薬袋を製造・販売してきた。商業印刷を中核としながらも、医療向けの製袋事業を展開する独自のビジネススタイルを持つ。

 同社が開発した「グラスパック」は、既存設備を活用しながらも、独自の製袋技術によって誕生した。一般的な紙袋は1枚の紙を折って形成されるが、同社の方式は上下異なる紙を貼り合わせ、四辺を接着した上で開口部を作るという独自工法を採用。この技術により、上面に透け感のあるグラシン紙、下面にクラフト紙を組み合わせた『紙だけの袋』を実現した。

 開発の背景には、吉田社長が店舗で見かけたアパレル商品の包装がある。見た目は紙だが、内側にはプラスチックフィルムが貼られていた。その「減プラ」包装に対し、「完全な紙素材で同じ風合いを再現できないか」と考えたのが出発点だった。

 グラシン紙の持つ紙粉の少なさやサイズ展開の柔軟性、特有の高級感と透明感は、他の素材では真似のできないアドバンテージとなる。こうして生まれた「グラスパック」は、封筒サイズからアパレル、コスメ、電子機器の小部品包装まで多様な展開を見せている。また、グラシン紙を活用した関連製品「グラスファイル」も展開しており、同社の薄紙特化型印刷技術「SLP(スーパーライトプリント)」を活かした新商品開発は、今後さらに広がりを見せそうだ。

サステナブルマテリアル展で成果。商印の受注にもつなげるフックに

 グラスパックはこれまで、完全な「脱プラ」の紙製パッケージとしてサステナブル志向の強い企業へ展開してきたが、本年は「箔」を施すことで、脱プラだけでなく「付加価値」も高めたラインアップを紹介し、来場者の注目を集めた。吉田社長は「パッケージは本来、商品価値のイメージを高めるもの。今後は脱プラだけでなく、付加価値を高める包材であることもアピールしていく」と話す。

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サステナブルマテリアル展でも注目を集めた

 また、今回の出展で「紙でここまでできるのか」という声がプラスチック素材関連の出展社からも寄せられたという。吉田社長は「世の中の脱プラへの関心の高さを肌で感じることができた」と語る。今後はさらなる認知拡大を図るべく、他の展示会への出展や、将来的には環境配慮の意識が高い欧州などの海外展開も視野に入れる考えだ。

 営業担当の齋藤研氏は「高級感のあるグラシン紙の風合いに、金・銀や白、黒などの箔をあしらうことで、パッケージそのものが商品の魅力を引き立てる。ただの袋ではなく、企業ブランディングの一環として評価されている」と話す。

 また、グラスパックは単体での販売にとどまらず、次の仕事へとつなげるための有効なツールとしても期待されている。吉田社長は「裾野が広く、様々な業種に提案できる商品だからこそ、例えば『パッケージにグラスパックを使ってみませんか?』という導入から、商業印刷へと提案の幅を広げることができる」と語る。環境対応という共通の関心軸のもとで接点を築けるグラスパックは、新規顧客を開拓するフックとしても有効な存在となるだろう。

 「グラスパック」のアドバンテージを活用したさらなるラインアップ拡大に期待したい。

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