2025年紙・板紙出荷量は減少見込み
矢野経済研究所は、国内外の紙・板紙市場を調査し、品種別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
2025年の紙・板紙市場は、直近2年と同様、物価高の影響により個人消費が低迷し、ユーザーのコスト削減意識も強まる中、薄物化や包装材の簡素化の動きが継続しており、段ボール原紙や紙器用板紙、包装用紙といったパッケージング用紙が再び前年を下回る推移となっている。また、新聞用紙や印刷・情報用紙などのグラフィック用紙についても、引き続きデジタルシフトが加速、ユーザーのコスト削減意識も依然として高く、需要は一段と減少傾向を強めている。前年大幅拡大した輸出についても、海外市況の悪化や米国の相互関税の影響により勢いは失速、2025年は大幅減となる見込みであるため、2025年の紙・板紙出荷量(国内出荷量+輸出)は再び減少する見通し。
大手製紙メーカー各社の2025年度上期(4~9月)連結業績を見ると、これまでの増収基調から一転、減収となったメーカーが大半であった。紙・板紙の出荷量が減少する中で、これまで複数回にわたり実施された価格改定の効果により、上昇した市況は維持されているものの、それを上回る出荷量の減少がその要因と見られる。
また、パルプ事業における市況下落も減収要因となっている。利益についても、上昇を続ける物流費や人件費に加え、老朽化設備の安定操業維持や事業継続に必須となる設備修繕費が増大。これらのコストを吸収できず、前年同期より大幅な減益となっている。2024年に実施した各品種における価格改定効果は限定的だったと言える。
こうした中、2025年においても新聞用紙以外の主要品種で2024年に続き、価格改定が実施された。秋に実施された品種が多かったこともあり、新価格が浸透しきれていない品種があることなどから、2025年度の業績への影響は軽微と見られるが、新価格が市場に浸透することが見込まれる2026年度は、価格改定効果により、製紙メーカーの収益は改善に向かうと同社は見ている。
一方、この価格改定の影響により、紙・板紙需要の減少圧力が再び強まると当社は見る。しかし、価格改定は製紙メーカーにとって、現在推進している事業構造改革や経営基盤強化においては避けて通れない道であり、今後も製紙メーカーの収益確保に向けた重要な施策の1つとして、断続的に実施されると見ている。
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