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ダックエンジニアリング/京都精工、ブランクス検査装置をリニューアル

画像検査と搬送技術が進化

 ダックエンジニアリング(株)(京都市南区)と京都精工(株)(京都府宇治市)は、両社の画像検査技術と搬送技術を融合したブランクス検査装置をリニューアルした。新たに開発したハードウェアにより、従来の表裏検査に加え、箔やフィルムなどの特殊加工部の検査にも対応する「3ステーション検査」を実現。さらに、装置のコンパクト化や操作性の向上を図り、省スペースかつ誰でも扱える検査装置へと進化させた。パッケージ印刷分野で高まる品質保証ニーズと人手不足への対応を背景に、両社の協業による検査ソリューションは新たなステージに突入している。

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リニューアルしたブランクス検査装置の前で 左からダックエンジニアリングの川口氏、荒木氏、京都精工の高山氏

画像分離技術により3ステーション検査を実現

 ダックエンジニアリングの次世代画像検査装置「Prenity」と京都精工の搬送機を組み合わせたブランクス検査装置はIGAS2022で発表され、打ち抜き後の紙器ブランクスを対象としたオフライン検査装置として、これまで多くの印刷会社に導入されてきた。ダックエンジニアリングと京都精工のブランクス検査装置は約120台の納入実績を持ち、医薬品パッケージを中心に品質保証の要として活用されている。

 今回のリニューアルで最大の特徴となっているのが、検査機能の拡張である。ダックエンジニアリングの技術担当者は、「従来は表面と裏面の検査が中心だったが、新たに開発したハードウェアにより、カメラで取得した画像を分離して別の検査処理を行えるようになった。これにより箔加工部分の検査など、追加の検査項目に対応できるようになった」と説明する。

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画像分離技術により、2台のカメラで「箔」の検査も可能になった

 新システムでは、画像を並列処理することで実質的に3つの検査ステーションを構成。カメラ台数を増やすことなく検査機能を拡張しており、装置の大型化を避けながら高度な検査を可能としている。また、照明構成も見直され、従来の3灯から4灯へと強化。透過照明の追加により、窓貼りパッケージのフィルムや背景と同化しやすい印刷部分の検査精度を高めている。

 近年は、化粧品や食品分野など、加飾や多様な素材を用いたパッケージが増加しており、荒木氏は「箱だけでなく、台紙やフィルム貼り製品など、検査対象は広がっている。そうした製品にも対応できる装置として進化させた」と説明する。

安定搬送と省スペース設計で現場適応力を向上

 また、搬送機メーカーである京都精工(株)技術営業部の高山氏は、「搬送速度そのものは従来機と大きく変えていない。速度を上げ過ぎると製品へのダメージや作業負担の増加につながるため、むしろ安定性を重視した」と説明する。

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従来機よりも、さらに安定した搬送が可能になった

 とくに近年増えているPET貼りやフィルム加工製品は反りが発生しやすく、搬送安定性が検査精度を左右する。同社はダックエンジニアリングと連携し、搬送部の構造や検査位置を最適化することや搬送ローラーにスポンジ素材を採用し、製品へのダメージを抑えながら安定した搬送を実現していることも大きなポイントだ。

 さらに、装置全体の設計を見直すことで、従来機と比較して約50cmの短縮を実現。省スペース化により設置の自由度が高まり、既存工場への導入もしやすくなった。

工具レス設計と自動化で操作性を大幅に改善

 今回のリニューアルでは、現場での使いやすさが大きく向上した。操作パネル上で取扱説明書を確認できるほか、各センサーの状態をリアルタイムで表示するモニタリング機能を搭載し、トラブル対応を容易にした。

 また、メンテナンス時に手動で持ち上げる必要があった照明ユニットも、ボタン操作によるシリンダー昇降方式へと変更した。高山氏は「以前はかなり力が必要で大変だったが、現在はボタン1つで昇降できる。作業者の負担を大きく軽減することができた」と話す。照明を上げたまま検査を開始しようとすると警告が表示される機能も備えている。

 段取り替えの簡素化も進めており、従来は工具が必要だったストッパー調整をマグネット方式に変更するなど、工具レス化を徹底。ダックエンジニアリング営業技術本部サブリーダーの川口氏は、「印刷業界では人手不足や人員の入れ替わりが多いため、誰でも簡単に扱える装置であることが重要だ。外国人作業者でも使いやすい設計を意識している」と話す。

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マグネットタイプのストッパーで工具レスを実現

協業による一体設計でさらなる市場拡大へ

 両社は長年にわたり協業関係を築いており、搬送機と検査装置を一体設計することで高い完成度を実現してきた。高山氏は「ダックエンジニアリングとは設計段階から密に連携しており、搬送と検査を一体で最適化できることが強みである。今後も協力関係を維持しながら、印刷業界だけでなく新たな分野への展開も進めていきたい」と展望を示す。

 また、顧客製品を用いた実機テストは両社が共同で実施しており、導入前に検査性能や操作性を確認できる体制を整えている。技術担当者は「導入済みユーザーからの要求は年々高度化している。そうした声を反映しながら、既存システムをさらに改善し続けていきたい」と話す。

 パッケージの品質保証に対する要求が厳しさを増す中、画像検査と搬送機メーカーの協業による高精度ブランクス検査システムは、印刷現場の省人化と品質安定に貢献する重要なソリューションとして、今後のさらなる導入が期待できそうだ。