コダック、ハイブリッド営業本格化[PROSPERビジネス]
紙器パッケージ向け「販促」に注力
コダックの事業全体の約7割を占める印刷関連ビジネスは、プレート、CTP機器、ワークフローを三位一体とするオフセット印刷事業と、「唯一無二」の尖った製品ポートフォリオを持つインクジェット事業を両輪としている。今年は、これら製品を横断したハイブリッド営業を本格化させ、PROSPERインクジェット事業においては、紙器パッケージ分野に向けたプリントヘッドに特化した販促を展開していく方針を打ち出している。

インテグレーションに強み
コダックのPROSPERインクジェット事業がターゲットとするマーケットは大きく分けて2つ。そのひとつは旧ヴァーサマークの流れを汲むメーリングおよびトランザクション系のマーケットだ。
日本でプリントヘッドビジネスを牽引してきたのはダイレクトメールの宛名印字だが、大手にはすでにほとんど採用されており、ある意味「飽和状態」にある。コダックジャパンの中川武志代表執行役員は、「メーリングの市場は成熟している。ヴァーサマーク時代からコダックはこの分野で多くの実績があるが、今後はリプレイスや増設の需要はあるものの、市場性の観点から拡大する市場ではないと考えている」と説明する。
そしてもうひとつのマーケットが、QRコードやバーコードを使った、いわゆる「販売促進」の市場である。トナー機時代も含め、デジタル機全般の販売支援業務に携わってきたプリント事業部デジタルプリンティング担当の山田明伸セールスマネージャーは、「とくに今年は紙器パッケージ分野にフォーカスした販促ソリューションに注力していく」と語る。
また、この方針について中川氏は、「紙器パッケージ分野の販促ソリューションは、実績はあるものの、まだまだ『未開拓』の分野。ハイブリッド営業を展開する中で、全営業マンが『コダックの販促ソリューション』の一部のツールとしてPROSPERインクジェットを訴求していく」と説明。紙器パッケージ分野での採用が進むプロセスフリープレート「SONORA」との相乗効果も期待できる。
「紙器パッケージ分野の販促ソリューションについて、page2026でもそのニーズがあるという手応えを感じた。印刷会社がまだブランドオーナーの要望に応え切れていない。ここに我々にしかできないことがある。コダックは、単にインクジェットヘッドベンダーではなく、データ処理から搬送機、加工機までインテグレートできる強みがある」(中川氏)
一方、山田氏は「page2026で強く感じたのは、新しいビジネスを探している印刷会社が例年より目立ったこと。ここに我々のPROSPERインクジェット事業の市場性を感じた」と語る。
「いまブランドオーナーは、新規顧客を如何に獲得するかが大きなテーマになっているが、デジタルマーケティングはここが不得意。PROSPERヘッドを活用することで、新規顧客との親和性が高い紙をタッチポイントとして効果測定を含めたソリューションが可能になる」(山田氏)
千鳥配列で印字幅を拡張
コダックのPROSPERヘッドのコア技術となっているのがシングルアレイコンティニュアス方式のプリントヘッド技術。この技術を採用しているのはコダックのみで、他の世界的なインクジェットメーカーは、すべてドロップ・オン・デマンド(DOD)方式を採用している。
このコンティニュアス方式でも、第3世代のSTREAM技術と第4世代のULTRASTREAM技術とでは、ドロップを生成するテクノロジーは同様であるものの、制御方法が異なる。
STREAM技術は、大小のドロップを均一に落とし、小さいドロップを風で飛ばして再循環用に回収し、大きなドロップを落としてイメージを形成する。これに対し、第4世代となるULTRASTREAMはその逆。大きいドロップに電荷をチャージして抜き取り、小さいドロップを落としてイメージを形成する。この技術により、インクサイズはSTREAMのおよそ1/3になり、インクドロップの再現性に優れることから、粒状性のある高解像度の品質で高速印刷できるわけだ。
「インクを遠くまで飛ばせるコンティニュアス方式の強みとして、機械に組み込みやすい点が挙げられる。コダックは、このインテグレーションにおいて豊富な経験と実績があり、唯一無二の立ち位置にあると自負している」(山田氏)
さら一昨年のdrupa2024で発表された「PROSPERプリントバー」は、この「PROSPERヘッド」の拡張アプリケーションで、PROSPERヘッドを千鳥配列することで印字幅を拡張。モノクロなら最大4ヘッドで407.4ミリ幅、フルカラーなら最大3ヘッド(4色で計12ヘッド)で306.8ミリ幅までのバリアブル印刷が可能である。
山田氏は、「PROSPERプリントバーは、『初期投資を抑えつつも高解像度で高生産性が必要』というレンジ、あるいは市場ニーズの隙間を埋めるソリューション」とし、日本でもPROSPERの可能性を拡げる製品だとしている。

今後、PROSPERインクジェットの訴求においてコダックが考える施策は大きく2つ。まずひとつは、ブランドオーナーへの訴求である。同社では今年10月に開催されるTOKYO PACK 2026に出展し、ブランドオーナーに向けてアピールする考えだ。
もうひとつが、製品ポートフォリオを市場に浸透させていくという意味で、チャネル(パートナー)戦略も強化していく。
「製品としては完成されている。あとは『客を知り、市場を知る』ことが重要だと考える」と語る中川氏。「コダックというブランドに誇りを持ち、インクジェット分野の中でも『尖った製品』の絶対的強みを、自信を持って訴求し、市場を作っていきたい」

















































