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札幌大同印刷、ペーパークラフトでIPA2025に入賞

創造性と機能性を両立〜圧倒的な存在感を世界が認める

 札幌大同印刷(株)(本社/北海道札幌市、川口義明社長)は、2025年度の「イノベーション・プリント・アワード(以下、IPA)」において「クリエイティブデザイン」部門第1位を獲得した。同社の作品は、日本で古くから伝わる「鬼」のマスクをペーパークラフトとして制作したもの。組み立てる楽しさと難しさ、完成した時の喜びとリアルな形状、そして実際にマスクとしてかぶれるように緻密な設計など、クリエイティブを提供する制作・印刷会社として事業を展開する同社の強みが集約された作品として仕上がっている。


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札幌大同印刷の作品

クリエイティブに特化した体制を構築

 札幌大同印刷は、創業70年以上の歴史を有する印刷会社。デザイン・Webを主軸に印刷・製本部門なども有し、総合力で社会やクライアントの課題を解決することを目的に事業を展開している。

 その同社の最大の特徴は、企画・デザイン・Webなどクリエイティブ部門に特化した体制の構築だ。今まではデザイン・Webは一部門だったが、より専門性を持たすため1996年にグラフィックデザイン専門部署の企画室dioを開設。2021年には、Web専門開発室コロルセを開設し、これらが製版・印刷・製本部門との連携で、同じ目的のもと問題解決に取り組むワンストップシステムを構築。顧客との直接打ち合わせにもデザイナーが同行する機会が多く、スムーズかつ的確に顧客の要望を汲み取る営業スタイルは、いかに同社が提案力を重要視しているか見て取れる。また、一貫したクオリティ管理によるワンストップの事業基盤を確立している。

 さらに近年では、自社の文具ブランド「DAIDO Stationeries」を立ち上げ、印刷とあそびゴコロのあるデザインの魅力を「文具」や「雑貨」というカタチで定期的に発信している。

 また、様々な文具イベントや、自社イベントも積極的に展開。印刷とあそびゴコロのあるデザインの魅力をカタチにしたプロダクトを紹介・販売し、「紙」の新たな可能性と魅力を広く社会に伝えている。今回の入賞作品もそのプロダクトの1つとなる。

 IPAは、富士フイルムグループのデジタル印刷機器である、プロダクションプリンター「Revoria Press」シリーズやインクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズ、ワイドフォーマットプリンター「Acuity」シリーズなどを使って制作された印刷物を作品として評価するコンテスト。審査は、印刷やグラフィックデザインなど各分野の識者で構成される第三者委員会が行い、応募作品の仕上がり品質、デジタル印刷技術の活用、革新性、ビジネス有効性、全体的な美しさといった基準に基づいて評価し、入賞作品を決定する。

 2008年から毎年開催され、通算18回目となる2025年度は、グローバルから作品を募集する「IPA2025 グローバル」と日本とアジア・パシフィック地域に限定して募集する「IPA2025 APJ」の2つのプログラムで開催。

  IPA2025 グローバルには、日本をはじめ、米国、ドイツ、英国、シンガポール、タイ、インド、アラブ首長国連邦などの14の国・地域から170作品の応募があり、36作品が入賞。また、IPA2025 APJには、日本とアジア・パシフィックの10の国と地域から282作品の応募があり、36作品が入賞している。今回、日本からは過去最多の7作品が入賞した。

再挑戦で昨年の雪辱を果たす

 2025年11月11日には、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン・札幌ショウルームにて表彰式が挙行された。

 表彰式には、札幌大同印刷から川口社長をはじめ、山田博一常務取締役、企画室dio アートディレクターの岡田善敬室長、制作室文房具係の藤谷浩幸氏、そして荒井貴康氏、佐藤鈴氏、朝日見帆氏の3名のグラフィックデザイナーが出席。また、主催者側からは、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(株)グラフィックコミュニケーション営業統括部の近藤哲也統括部長ほか、担当スタッフらが出席した。

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表彰状を手にする川口社長(中央右)と荒井氏

 
 表彰式では、近藤統括部長から賞状と記念トロフィーが授与され、これを受けて川口社長は「当社は、昨年度もIPAにエントリーしたが、残念ながら入賞に至らなかった。昨今のインバウンド需要の高まりを背景に日本の文化が世界中に広まりつつある。そこで今回の題材となっている鬼であれば、インパクトを与えることができるはず、との思いから再度チャレンジさせてもらった」と改めて応募した理由について述べた上で「世界中から素晴らしい作品が寄せられるIPAのクリエイティブデザイン部門で1位を獲得することができたことを誇りに感じている。また、プロセス4色のみを用いて制作した作品で入賞できたことは、当社の創作力が世界に認められた証だと確信している」とクリエイティブを強みとする同社の姿勢が今回の入賞につながったと説明した。

 IPA2025 APJ クリエイティブデザイン部門第1位を獲得した同社の作品「ハイレベルペーパークラフトシリーズチャレンジマスク!フルカラー版・鬼(赤/青)(以下、鬼クラフト)」は、ペーパークラフト作品で、高い発色性とオンデマンド印刷の即応性を活かし、小ロットで効率的な生産を実現している。作る楽しさと達成感を大切にし、日本文化に根付く鬼の魅力を伝えている。

 鬼クラフトの特徴は、ペーパークラフトでありながらリアルな鬼のマスクとして仕上げていること。その圧倒的な存在感だけでなく、実際にかぶることができるなど機能面も兼ね備えている。まさに同社のクリエイティブデザイン力を1つのプロダクトとして表現している。それを物語るように現在、同社ではデザインをはじめとするクリエイティブ関連の事業が主軸となっており、売上比率でも約7割を占めているという。同社のクリエイティブ部門のスタッフ数は13名。一方、印刷・製本部門は7名と人員体制的にも、その方向性が伺える。

 川口社長は「デザインを事業の核として急激に業態変革を行ったわけではないが、企画、デザインからトータルでお願いしたいといった顧客からの要望が増えていったことが、現在の業態につながった」と、顧客や社会のニーズに対応してきたことが社内体制も含め、デザインを軸としたビジネスモデルへの変遷に自然とつながっていったと説明する。