2017年12月1日
「光源氏の色好み」と題して講演
(株)モリサワ(森澤彰彦社長)のユーザーで構成するモリサワ会(浅野健会長)の秋期研修会が11月30日、東京・千代田区のホテルグランドパレスで開催され、およそ100名が参加した。
モリサワでは2018年に続き、2年連続で2019年も「源氏物語」をテーマにしたカレンダーを企画・制作し、今回はこの源氏物語を絵画化し、文章を抄録、書写した詞書とともに編んだ貴重な国宝「源氏物語絵巻」を掲載している。
今回の研修会では、この源氏物語研究の権威である中央大学の池田和臣教授を講師に招き、「光源氏の色好み-付 国宝源氏物語絵巻詞書-」と題して講演が行われた。
池田教授は、古代英雄に見られる「色好み」という属性を中心に話を進め、物語に出てくる15人の女性と光源氏の恋愛関係を事細かに解説。「源氏物語とは、天皇の子に生まれ、天皇になる器をもちながら、左大臣と右大臣の権力闘争を避けるために、天皇家から臣籍降下された光源氏が、秘められた形で天皇の父になる、つまり性事によって実質的に天皇と同じ政治権力を手に入れる物語であり、単なる恋愛物語ではない」と結論づけた。
一方、国宝源氏物語絵巻詞書の解説では、書風として5種類の筆跡があり、なかでも第1類に属する筆跡が最も優美で流麗な平安時代風の仮名であることを示した上で、「モリサワカレンダーには五島美術館が所蔵する『鈴虫』(1〜6月)『夕霧』(7〜8月)『御法』(9〜12月)の三帖を掲載しているが、これらはすべて第1類の筆跡。筆線や字形の美しさとともに、散らし書きや重ね書きの素晴らしさを味わって欲しい」と訴えた。