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印刷会社が提案する「販促アイテム」

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昇文堂、「捨てられにくい」販促アイテム〜オリジナルカードゲーム提供

印刷ジャーナル 2024年3月25日号掲載

 (株)昇文堂(本社/東京都千代田区、田中真文社長)は、トランプやカルタ、トレーディングカードなど、オリジナルカードゲームを販促アイテムとして提案することで、クライアントのビジネスをサポートしている。同社の田中千佳子常務取締役は、「他の販促アイテムと比べ、受け取ってもらいやすく、捨てられにくい。情報量も豊富に掲載でき、コレクターズアイテムにもなる」と、オリジナルカードゲームを販促アイテムとして活用するメリットを強調する。ノベルティとしてだけでなく、商品としての価値を持つ商材としても十分に活用できる。

「神田カレーグランプリ」のオリジナルトランプをPRする田中常務


 同社はカードを中心とした様々なオリジナル紙製品を製造しているメーカーである。トランプやカルタ、トレーディングカードをはじめ、花札や百人一首、パズル、観戦・応援グッズ、さらに過去に自社商品として開発したオリジナルカードゲーム「SAi」はグッドデザイン賞も受賞した。

 その多彩な商品アイテムに加えて、同社商品が伸びている秘訣は、その品質と同社の営業力にあるようだ。まず、品質についてはトランプやカルタなどは一面に面付けするため、ホワイト部分にムラがあるのは当然NGであり、色が均一である必要がある。同社はカード印刷の長年のノウハウにより、カード一面に均一に色を印刷し、高品質な印刷を実現できるほか、カードゲームを楽しむために不可欠な、カードの「滑り」についても、独自開発のニスにより高品質を実現している。田中常務は「カジノレベルを実現している」と自信を示す。しかしながら、まだまだ開発の余地はあるようで、さらに滑りの良いカードを開発していく考えだ。

 また、営業面については、カード印刷は特殊なため、一般の印刷会社ではクライアントから相談を受けても、十分に答えられない場合がある。「その点、当社は一般消費者の方に向けても、丁寧に分かりやすく説明することができる。その知識による営業力も仕事が集まっている理由の1つ」(田中常務)と説明する。


豊富な情報量、コレクターズアイテムにもなり得るカードゲーム


 トランプなどのカードを販促アイテムとして活用する場合、掲載できる情報量は少なく思えるかも知れない。しかし田中常務は「例えばトランプであれば54枚あるので、その1枚1枚に企業情報を印刷すれば、カタログに匹敵する情報量も提供できる。さらに、一般的なカタログだと面白みがないので受け取ってもらいにくいが、トランプなどのカードゲームであれば受け取ってもらいやすく、さらに捨てられにくいという特長がある」と説明しており、大量の情報を掲載できるとともに、販促効果を発揮できるアイテムとして活用できることを強調している。

 実際、同社では有名ブランドメーカーの販促アイテムも手掛けているが、有名ブランドのプロモーションカードやトランプ、カルタなどは、カタログ代わりやコレクターズアイテムとして機能しており、持続可能なプロモーション効果を発揮しているようだ。

 具体的な事例を紹介すると、数年前には蒲郡の競艇場において、1人1人の競艇選手の顔写真が掲載されたトランプを来場者にノベルティーとして配布した。「そのトランプが欲しいという理由で、来場者が増加したという話を聞いた」(田中常務)。また、一昨年に開催された「神田カレーグランプリ」というイベントでは、主催者と協力し、消費者が選んだ美味しいカレーのトランプを1セット・1000円の特別価格で販売し、大変好評になるなど、アイデア次第ではノベルティとしてだけでなく、商品としても活用できる。さらに自動車ディーラーに採用された事例では、「自動車の写真をパズルにしたものを制作した。完成すると大きめのポスターのようになり、ただ単にポスターを配るよりもインパクトもあり、お客さまに大変好評とのことだった」(田中常務)。


販促アイテムの領域を超える新たな可能性を模索


 現在、同社では新たな販促アイテムの開発に乗り出している。同社ではパッケージの制作も行っているが、これにアクセサリーなど、紙以外の商材の装飾を加えて、クオリティーを高めていきたいという。女性の占い師などから引き合いがあるようだ。

 また、カードゲームの側面に、ゴールドやシルバーの箔を巻くことにより、より豪華な販促アイテムの制作が可能になった。「安かろう、悪かろうではなく、1つの工芸品というか、美術品にもなり得るようなカードゲームを作っていきたい」というのが田中常務の考えだ。同社は今後、より効果の高い販促アイテムの開発に努めていく。

 従来の販促アイテムの領域を超え、新たな可能性を模索する同社の取り組みが楽しみだ。