画像検査システムのシリウスビジョン(株)(本社/横浜市港北区、辻谷潤一社長)は、多様化する検査ニーズに応える専門性の高い検査システムを開発してきたが、昨今の人手不足で検査システムを求める印刷会社が増えていく中、汎用性の高い検査システムにも製品開発の裾野を広げている。新製品「Smartシリーズ」は、そんな同社の思いから開発された検査システムで、発売以来、ユーザーの好評を得ている。同社は先頃のpage2024において、同シリーズをメインに、刷り出し検版機やラベル印刷品質検査機など、印刷会社の品質管理と人手不足解消の課題を解決する製品群を展示し、多くの来場者から注目を集めていた。
新製品「Smartシリーズ」は、「より多くの方のお役に立っていきたい」との思いから、同社が一昨年のIGAS2022で発表した検査機シリーズ。同社では、「検査システムを初めて導入する『初心者』でも、安心して使用できる使い勝手と汎用性に優れた検査機となっている」としており、多くの印刷会社が検査機を採用するきっかけにつながることを期待している。
一体型高速可変読み取りシート検査機「Smaco」
「Smartシリーズ」の1つである「Smaco(スマコ)」は、コンパクトサイズの一体型シート検査機。筐体サイズは検査ソフトと搬送部を含めても1メートル程度で、同社では「検査ソフトもライト版となっており、1つの画面で設定から検査結果まで完結できる」と簡易な操作性をアピールしている。複雑な操作は一切ないため、検査機の初心者はもちろん、パソコンが苦手な方でも簡単に操作できるということだ。
「スマコ」の名称の由来は「スマートコンベアコンパクト」で、使い勝手を重視し、キャスター付きで簡単に移動ができる利便性がユーザーに喜ばれているという。同社では「これまでは、印刷対象物を検査機のある場所に持っていくのが常識であったが、スマコの場合は印刷対象物のある場所に検査機を持っていくことができる」と、新しい発想の検査システムであることを強調している。
はがき、DM、商品券やチケットなどの可変情報の読み取りに適しているが、インクの汚れなども同時に検査できる。可変情報の検査と同時に印刷の汚れも検査できることもポイントの1つ。さらに、製袋後のビニール封筒に封入封緘された後のものでも検査が可能となっている。
ボトムフィーダータイプ(吸引ベルト)で、最大搬送サイズは角2封筒サイズ。検査速度は往復はがきで6万通/時(英数OCR)、角2封筒縦で8,000通/時(内容物入り)を実現。目視やハンディリーダーでの手作業と比べ、オペレーターの負担を大幅に軽減できる。CSVやエクセルなどとのデータ照合も可能であり、「コンパクトで機能限定」と謳いながらも、多様化する検査ニーズに十分に対応する検査機と言えるだろう。
一体型ロールラベル検査機「S-Lab Combi」
一体型ロールラベル検査機「S-Lab Combi」は、卓上プリンターと連動して検査できる新製品。ラベルに追い刷りした可変情報の検査などに適している。
採用するカメラは照明一体型CIS。読取幅は6インチで、検査速度は毎秒2〜18インチ。使い方として、印刷済みロールラベルを巻出し機構に取り付けオフラインで検査する方法と、ラベルプリンターから排出後にそのまま検査をする方法の2通りのモデルから選ぶことができる。プリンター連動の場合、プリンターの外部機器接続用の拡張I/Fと接続してプリンターの印刷スタート・ストップを制御することができる。
また、検査処理は、NG停止(NGラベルはステージ上で停止)、結果CSV保存・欠陥画像保存・全画像保存などが可能になっている。
バーコード・QR・OCRの検査に対応(各CSV比較可)。OCRは事前のフォント登録が不要なAIS OCRを採用。そのほか、汚れ(良品マスターとの比較)検査が可能。
一体型全面シート品質検査機「S-Con Smart」
一体型全面シート品質検査機「S-Con Smart」は、主にシート全面の品質検査をするもので、A4/A3サイズまで検査が可能。オプションで、表裏両面をワンパスで検査がすることもできる。
前述の「スマコ」よりもさらに高精度な検査が可能になっており、バーコード・QR・OCRの検査に対応(各CSV比較可)する。汚れ(良品マスターとの比較)、オプションでPDFマスターとの比較もできる。
検査処理として、NG停止・定数区分け(インターバル)、結果CSV保存・欠陥画像保存・全画像保存などが可能。「スマコ」と同様、キャスター付きとなっており、検査対象物の場所に持っていくことができる。