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2024年、ここに注目!:独自戦略でアフターコロナ時代を躍進する企業、新製品、注目技術を紹介。

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エコスリージャパン、新ECO3ブランドで好調なスタート[岡本勝弘社長に聞く]

プレートシェアアップへ〜激変する社会の先頭に立てる会社に

印刷ジャーナル 2024年1月1日号掲載

 「昨年はグローバルで長い歴史のあるAGFAからECO3へのブランド変更があり、それを機にエコスリージャパンに社名変更した。こうした流れを受けて、新たなブランディング活動に注力した年だった」と昨年を振り返る岡本勝弘社長。エコスリージャパンとして新たなスタートを切った中、2024年は同社のコアビジネスであるオフセットプレート事業のシェアアップを目指したいと意気込む。今回、エコスリージャパンとして勢いをつける同社のビジネス計画について語ってもらった。

岡本 社長


エコスリージャパンのブランディング活動


 昨年最大のトピックスは、やはり「新ブランドの発表」である。2022年からブランド変更を行うことについてアナウンスはしていたが、詳細を明かせず、お客様には大変ご心配をお掛けしていたかと思う。2023年6月1日に正式に「エコスリージャパン(株)」に変更し、お客様には徐々にこの新ブランドを認知いただくようになった。100年以上の歴史のあるアグフアというブランドの変更は容易ではないと捉え、社内外問わず、イベントを企画したことが功を奏したと思っている。

 4月に弊社のベルギー本社から新ブランドが発表され、決起集会の意味合いも込めて全社員向けのイベントを実施。さらに6月にはお客様向けに駐日ベルギー王国大使館において「ECO3オープニングイベント」を開催し、駐日ベルギー大使をはじめ、ECO3ベルギー本社の責任者とお客様を交えて新ブランドの発表と日本におけるエコスリージャパンの活動について説明した。イベントには多くのお客様にご参加いただき、ECO3のメッセージとベルギービール、ベルギー料理をお楽しみいただいた。会場の都合上、多くのお客様をお招きすることができなかったのが悔やまれるが、今後もブランディング活動の一環としてお客様に楽しんでいただけるようなイベントを企画したいと考えている。

昨年6月23日に行われた新ブランド発表イベントの様子

 こうしたブランディング活動の中で、我々が最もお伝えしたかったことは、今までと同様にお客様に認められるように営業、サポートを行っていくことである。ECO3ベルギー本社からも、世界的に見て非常に大きな日本の印刷市場に、今後も積極的に投資していくという力強いメッセージがある。社名変更という大きな転機を迎え、不安に感じられたお客様もおられたと思うが、弊社としてはむしろ今まで以上に勢いがついているくらいである。これからの実績とシェアアップでお客様にさらに認められる会社にしていきたいと強く思っている。


アズーラの速乾印刷が再び注目を浴びる


 長引いたコロナショックも落ち着きを見せ、日本国内でもようやく経済活動が再開。弊社も昨年から営業活動を本格的に再開することができた。多くの新規のお客様も獲得し、今年につながる良い年であったと感じている。

 様々な材料、電気代等のエネルギー高騰や物流問題といった影響で、印刷業界は非常に厳しい時を迎えている。コスト増加分の価格転嫁がしっかりとできればいいが、100%転嫁できているという会社は少ない。コスト増加分をどこで補うかと考えたとき、やはりキーワードは「製造プロセスにおける最適化」だと感じている。

 こうした背景からガム洗浄プレート「アズーラ」による速乾印刷は大きな注目を集めた。アズーラは独自の技術で開発したシャロウバレーという砂目構造でオフセット印刷における水を絞った印刷を実現できる。この効果としては生産性の向上、効率改善、インキや損紙の削減によるコストダウンなどが挙げられる。製造コストを抑えるという期待から注目を集めたわけである。


積極的な営業活動再開


 積極的な営業活動の再開とともに、お客様先での見学会、オープンハウスも再開した。コロナによる数年間の自粛生活後の見学会は非常に盛り上がりを見せ、参加されたお客様からは高い評価をいただいた。

 なかでも最も力を入れた見学会はやはり「アズーラ」での速乾印刷である。静岡の共立アイコム様にご協力をいただき、数回にわたり見学会を実施。参加されたお客様に速乾印刷の成果をライブでご覧いただいた。

昨年7月開催の共立アイコム「アズーラ速乾印刷」内覧会の様子

 共立アイコム様は、速乾印刷を初めて10年経過しているが、速乾印刷を始める前と比べてもさらに大きな成果をあげており、現在でもしっかり利益を出す経営を実践されている。そのひとつの大きな柱となっているのが速乾印刷である。

 共立アイコムの小林武治社長は見学会の中で、「速乾印刷に取り組んだ結果、印刷現場が最も早く業態変革に成功した。さらに、油性印刷機の更新によって次の業態変革を迎えている。印刷機の生産性を可能な限りあげることができている。これはアズーラによる『速乾印刷』がなければ実現できないことだと思っている」と速乾印刷を高く評価していただいた。

 また、見学会を通して実際のアズーラ速乾印刷を見ていただくだけでなく、お客様同士のネットワーキングも活発に行った。変化の激しい時代を勝ち残っていくには、「情報」は大きな価値を持つ。引き続き弊社の製品の価値だけでなく、様々なお客様をつなぎ、その中で生まれる「情報」という大きな価値も提供していきたいと考えている。


今後の展望


 昨年の活動を通して、我々のコアビジネスであるプレート事業は、今後もお客様の経営改革に大きく貢献するソリューションだと確信している。アズーラ速乾印刷を引き続き推進し、さらなる実績を上げてプレートシェアアップを目指していきたい。

 また、弊社の強みのひとつとして、営業・技術サポートがプリプレスだけでなく印刷に関する幅広い知識を持っていることが挙げられる。お客様からは「トラブルや分からないことがあっても相談するとすぐに対応してくれる。他にはない手厚いサポートだ」という声もいただいている。アズーラ速乾印刷に関するエキスパートが揃っているので、安心して任せていただきたい。

 今後、エコスリージャパンとしてはヨーロッパの先進的な技術を日本のお客様に満足いただけるようにローカライズを行い、厳しい印刷市場を勝ち残れるソリューションを提供していく。良きアグフアの文化を継承し、新しい文化を取り入れながら、変化の激しい社会の先頭に立てる会社になれるよう頑張っていきたい。是非、今年のエコスリージャパンの活動にご期待いただきたい。