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三松堂、人材採用のリスク軽減〜手間とコストをかけずに即戦力社員を雇用

2024年3月25日

人材派遣会社「ウォームアンドビューティフル」活用事例


 創業120年の歴史を誇る三松堂(株)(本社/東京都千代田区)はこれまで、コストと手間をかけて採用した社員が短期間で離職するケースが少なくないという課題を抱えていた。同社ではその課題に対し、大手取引先である出版社からの提案により、人材派遣会社(株)ウォームアンドビューティフルを介して、営業事務の派遣社員を採用。すでに入社から10ヵ月が経過しているその派遣社員は、社内で信頼も得ており、業務スキルにおいても「正社員と同等の価値」を示しているという。同社では今後、営業職についても同人材派遣会社を介しての採用を検討する考えだ。

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 同社は明治35年に創業した老舗企業。昭和25年に三松堂印刷(株)として法人化。そして平成22年には、三松堂ホールディングス(株)に商号変更し、同社を統括会社として、営業会社の三松堂(株)、製造会社の三松堂印刷(株)に分社化して事業展開している。さらに近年は事業拡大にともないM&Aを進めており、ライト印刷(株)、宮嶋印刷(株)、映文社印刷(株)、旭印刷(株)をグループ会社として、出版印刷・商業印刷の両輪で総合印刷会社として事業を展開している。三松堂執行役員 営業本部の元木純一部長は、自社の強みについて「出版印刷・商業印刷ともに、小ロットから大ロットまで様々なニーズにフレキシブルに対応できる」とアピールする。

 同社は昨春、およそ十数年ぶりに人材派遣会社を介して派遣社員を採用した。三松堂ホールディングス総務部の師岡宏治部長は「せっかくコストと労力をかけて営業社員を採用しても、半年ももたないか、早ければ1ヵ月もせずに退職していく社員が少なくなかった。人材採用や将来的な人材教育の面からも、この問題を解決する必要性を感じていた」と当時の課題を振り返る。面接のときは自社にマッチした人材だと感じて採用しても、実際に働き始めてみると社風と合わなかったり、また、コロナ禍の影響も社員が定着しなかった理由の1つとなっていたようだ。

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元木 執行役員

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師岡 部長

 そんな中、同社が長年にわたり取引している某大手出版社の役員から推奨されたのが、人材派遣会社を通して派遣社員を雇用するという方法であった。師岡部長は「はじめは派遣で雇用して、自社に適した人材であると判断したら正社員にすれば良いので、リスクの少ない採用活動ができると薦めていただいた」と話す。ウォームアンドビューティフルでは、原則入社6ヵ月で契約社員から正社員として雇用できる独自サービスを展開しているため、採用した派遣社員に対して「派遣3年の壁」が適用されることなく雇い続けることができる。

 「その出版社ではこれまで、ウォームアンドビューティフルを介して20名近くを採用してきたようで、優秀な人材を雇用できることを評価していた。また、それらの実績に加えてウォームアンドビューティフルのグループ会社(株)ブリッジの社長とも面識があったことから、派遣社員を採用することを決めた」(元木執行役員)


即戦力の営業事務社員の派遣。10ヵ月で「正社員と同等の働きぶり」を発揮


 そこで同社では、令和5年の春頃にウォームアンドビューティフルに営業事務職の派遣社員を依頼。約1ヵ月で、現在も働く女性社員が面接に来た。その際、同社にとっては非常に有益なことがあった。

 「ウォームアンドビューティフルの担当者の方が、たまたま印刷会社に勤めていた経歴があったようで、その派遣社員に事前に業界基礎知識などを研修してから当社に派遣してくれた。そのため、即戦力として働き始めてもらうことができた」(元木執行役員)

 ウォームアンドビューティフルは、出版業界では30年以上の派遣実績を誇るため、派遣社員の教育を事前に行っているが、サービスを開始したばかりの印刷業界については、今のところ事前の教育は行っていない。しかし、たまたま担当者が印刷業界の経験者であったため、想定外のサービスがあったという。

 職場に打ち解けるのも早く、すでに「他の社員と同等のスキルを備えている」(元木執行役員)。営業社員の補助として主に大口取引先の見積りなどを担当しているようで、「働き始めてもらってから、担当してもらっている得意先の売上は実際に2〜3割ほど伸びた」(元木執行役員)と評価しており、すでに営業のサブ担当のポジションとなっているようだ。なお、今回は営業事務職での採用であったが、師岡部長は「営業は欠員が出ないと追加採用はしないのだが、次に募集する際には、営業職もウォームアンドビューティフルを介し、派遣社員から採用することを考えていきたい」と話している。


大手派遣会社にないサービスに信頼と期待


 人材派遣会社を活用した採用は十数年ぶりのため、他の人材派遣会社と比較してのメリットは分からないようだが、師岡部長は「出版や印刷業界に特化しているところに、人材派遣のプロとして信頼性を感じる。印刷業界へのサービスは始めたばかりと聞いているが、今後もノウハウを積んでもらい、印刷会社の戦力となる人材を教育していただきたい」と期待する。

 また、元木執行役員も大手人材派遣会社にはないウォームアンドビューティフルのサービスを高く評価しており、今後も優秀な人材を確保しながら企業としての競争力を高めていきたい考えだ。この先進的なアプローチにより、印刷業界に人材採用の新たな可能性が開かれたため、活用する価値は十分にあると言えるだろう。

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