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視点の行方

キャラクタービジネスに商機

印刷ジャーナル 2021年7月25日

 (株)矢野経済研究所は、国内のキャラクタービジネス市場を調査し、セグメント別の市場規模推移、キャラクター別の動向、将来展望を明らかにした。
 2020年度のキャラクタービジネス市場規模(商品化権、版権)は、前年度比99.6%の2兆5,235億円。社会現象となった「鬼滅の刃」のヒットがあったものの、新型コロナウイルスの影響により、店頭における販売活動の減少による売上減が響き、前年度比はマイナスとなった。
 キャラクタービジネス市場は、商品化権と版権とで構成され、2020年度の商品化権市場(小売金額ベース)は前年度比98.4%の1兆2,335億円、版権市場(契約金額ベース)は同100.8%の1兆2,900億円となり、商品化権市場がマイナスとなった一方、版権市場はプラス成長となった。商品化権はヒット作の影響による波があり、また少子化による市場のパイの縮小で売れ難くなっている一方で、版権はSNSや動画配信サービスの浸透などの影響により、広告宣伝やイメージキャラクター起用が積極的に行われており、増加傾向にある。
 有事の際にキャラクターが発信するメッセージには影響力があり、様々なメディアで拡散されるなど、プロモーション等でのキャラクター起用が増え、コロナ禍にあっても市場は堅調に推移した。
 2020年の「ゆるキャラグランプリ」最終回が象徴したように、「ゆるキャラ」は1つの時代の役割を終えた。その一方、地域で継続して愛されるキャラクターは多く誕生しており、地に足の付いた地域振興のためのキャラクタービジネス展開がスタートしている。
 2021年度のキャラクタービジネス市場(商品化権、版権)は前年度比100.3%の2兆5,305億円になると予測。商品化権はインバウンド(訪日外国人客)需要の消失に加えて、テーマパークのグッズ販売の減少により苦戦するものの、動画から生まれた「クマーバチャンネル」のような新しいキャラクター(IP:Intellectual Property)の活躍により底堅く推移すると見込む。
 版権市場はコロナ禍による外出規制の影響でアニメ視聴が増えたことにより、アニメキャラクターを活用した版権ビジネスには追い風となった。また、万全の新型コロナウイルス対策で開催されるとみられる舞台・演劇やミュージアムビジネスなど、体験型ビジネスが盛り上がるものと考えられる。