2023年12月19日
「印刷ムラ」を定量化し、スマートフォンによる個体識別を実現
TOPPANデジタル(株)(坂井和則社長)と東北大学大学院情報科学研究科 青木・伊藤(康)研究室(宮城県仙台市)の「機械学習に基づく画像マッチング手法の研究」に関する共同研究の論文が、第29回画像センシングシンポジウムで「最優秀学術賞」を受賞した。
TOPPANデジタルがこれまで培ってきた印刷物に関する知見および画像処理技術と、東北大学の個体識別技術を融合し、「印刷物の人工物メトリクス」を題材にディープラーニングを用いた画像マッチング技術の確立のための共同研究を進めてきた。
人工物メトリクスとは、人工物ごとの固有の特徴を用いて、人工物の各個体を識別する技術。人工物では、材料や製造工程などの様々な要因により、個体ごとにバラツキ・ムラが発生し、これらのバラツキ・ムラを手掛かりに、人工物メトリクスは各個体を識別することができる。
論文では、印刷物における印刷ムラを手掛かりに印刷物の個体識別が可能であるという仮説を立てて検証。結果、同一の原稿から印刷した500個の印刷物をスマートフォンで撮影した画像において、誤差0・3%未満の精度で識別できることができた。
また、バーコードやロゴマークなどの特性の異なる印刷物にも有効であることを確認。様々な印刷物に対して簡易な撮影装置で高精度な個体識別が可能であることを示唆している。