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大印工組、「PRINT LOVERS OSAKA 2025」10月17-18日開催

「未来を刷る、愛とアートで。」堂島リバーフォーラムで

 大阪府印刷工業組合は、70周年記念事業として2025年10月17日・18日の2日間、堂島リバーフォーラム(大阪市福島区福島1-1-17)において展示会イベント「PRINT LOVERS OSAKA 2025〜未来を刷る、愛とアートで。」を開催する。

 同記念イベントの企画段階において、浦久保康裕前理事長をリーダーとする「70周年記念事業プロジェクトチーム」では、印刷業界の現状と構造的な問題点を次のように洗い出している。

▽印刷市場の縮小と組合員の減少
 印刷出荷額は1991年の8.9兆円をピークに減少し、2021年には約3兆740億円まで縮小。組合員数も過去10年で半減している。

▽小規模化と収益構造の限界
 組合員の60%が10名以下、80%が20名以下。多くが「請負型」で、同質化競争に巻き込まれている。
▽「価値協創」への期待と戸惑い
 「印刷+α」を実践する「価値協創」のビジョンを持つ中、その一歩が踏み出せない状態もある。

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浦久保リーダー

 浦久保氏は、「私の理事長時代の前半2年はコロナ禍で活動が制約されたが、後半2年は次の執行部・ユニットのために活動した。結果としてペーパーサミットや経営革新塾など、次の4年間の軸となるような事業が仕込めたと思う。その中で70周年に際し、式典は組合員および関係者を対象とし、外に向けては今後の印刷業のあるべき姿を示す必要がある」との考えを示した上で、「情報伝達ツールとしての印刷は終焉を迎えた。これを『実用性』とするならば、今後の印刷は『意味性』。今回の記念イベントは、この変化を訴求し、体感してもらえる機会にしたい」と語る。今回は、この「意味性」を、アートを介して表現していくイベントになるという。

4つのコンテンツで構成

 「PRINT LOVERS OSAKA 2025」は、4つのコンテンツで構成される。

 まずメインとなるのが「Gallery」。70名の国内外のアーティストによる作品を組合員が印刷で多様に表現し、印刷加工や紙質の違いを比較展示するというもの。アート・クリエイターに関する企画・キュレーションには庄野裕晃氏を、またアートディレクターにはヒロ杉山を招聘する。

 「チームや支部ごとなども含め、できれば全組合員に参加してほしい」(浦久保氏)

 2つ目は印刷の最新技術やプロセスに触れる「Factory」。実機で印刷工程の一部を体験でき、来場者には好みの印刷形式で作品をプリントして持ち帰ることもできる。また、学生向けにはガイド付きの印刷体験コーナーも設置する。

 3つ目は「Market」。展示作品を用いた印刷グッズ、ZINE、アパレル、文具などの販売のほか、コラボ商品展開やアート作品を使った印刷物の商品化に挑戦する(販売方法は状況に応じて配布、引換などに変更する場合もある)。

 最後は「Talk」。印刷の未来を照らすトークイベントやクリエイター×プリントディレクター×異業種のパネルセッションなどを企画している。

 「とにかく印刷に希望と未来を感じてもらうことが第一」と語る浦久保氏。「印刷業の新たな可能性・魅力を発見する」「組合員のエンゲージメントを高める」「大印工組の存在感を内外に示す」、この3つの視点でイベントが展開されることになる。

メディア活動「PRINTICA」

 一方、これら大印工組の活動を通じて生まれる、印刷の新たな可能性をもったプロダクトや、そのプロセス・成果を発信するメディア活動を「PRINTICA(プリンティカ)」と名付け、継続的に展開していく。「PRINTICA」とは、「Print×Antarctica(未知の世界)の造語。このブランディングについて浦久保氏は、「再現性がある印刷を、さらに組合員が持つ技術や設備と組み合わせることで、意味性を持った価値にしていく。その過程で印刷に対する意識やプライドが高まることを期待している」と語る。

 大印工組では、前記の「Market」の概念を拡張させ、PRINTICAブランドによる「発信できる組合」「稼げる組合」としての可能性も模索し、将来的には海外展開も視野に入れて活動していく考えだ。