富士フイルムBI、紙さばき作業を自動化〜国内初のロボットシステム発売
印刷現場の生産性向上に貢献
富士フイルムビジネスイノベーション(株)(本社/東京都港区、浜直樹代表取締役社長・CEO)は2025年4月16日、刷本の束の紙さばき作業を自動化する国内初の紙さばきロボットシステム「Revoria Kamisa PH12」を発表した。印刷業をはじめとする製造業の現場では、少子高齢化や労働人口の減少など、モノづくりのための人材確保が年々難しさを増している。今回発表した新商品は、属人的なスキルに依存しない省人化の生産システムとして期待されている。

ポストプレスのスマートファクトリー化を支援
印刷製造工程では、印刷後の用紙断裁に入る前の準備として、積載された重量のある刷本の束を複数回に分けて持ち上げて風入れをし、ジョガーへ運んで紙揃えを行う「紙さばき」の作業工程が必要となる。これは静電気や印刷表面のインクやトナーが原因で用紙同士が貼り付かないよう、人為的に用紙間に風入れを行うことで断裁工程における品質不良を防ぎ、印刷物の品質保持と効率的な生産のために必要不可欠な作業工程となっている。
しかし、人手で行われるこれらの紙さばき作業工程は、オペレーターによる熟練の技術が求められるうえ、身体的な負荷も高い作業となっている。そこで同社は、紙さばき作業工程を自動化する紙さばきロボットシステム「Revoria Kamisa PH12」を開発。2025年7月1日より販売を開始する。
プロダクションプリンターや、印刷ワークフロー・ソリューションなどで印刷会社のビジネスを幅広く支援する同社であるが、印刷ロボティクス分野の商品提供は、今回が初となる。この 点について、同社・丸林一憲氏(グラフィックコミュニケーション事業本部 DX事業部 ソリューション開発統括グループ 統括グループ長)は、次のように説明する。
「富士フイルムグループは、FUJIFILM Smart Factoryを掲げ、生産環境の最適化を提案している。これまでプリプレス、プレスの分野において様々な商品・サービスを通じて印刷会社のスマートファクトリー化に貢献してきたのに続いて、今回の紙さばきロボットシステムは、ポストプレスの分野における生産環境の最適化に寄与するものと位置付けている」
同社では、これまで「IGAS 2022」や「drupa 2024」において、ロボット技術を活用したシステムを参考出品するなど、市場ニーズの調査を続けてきた。今回の紙さばきロボットシステムは、それらを通じて汲み取ったニーズをもとに実用化へと至ったものだ。

今回、商品化した双腕のロボットアームとロボットハンドで構成されるシステムは、ジョガーやリフターなどの周辺機器と組み合わせることで、刷本の紙さばきの省人化を実現する。そのジョガーやリフターなどは、メーカーを問わず連動できるので既存の設備を活かしながら導入することが可能だ。また、それらの周辺機器を設備していない場合には、トータルロボットシステムとしての提供にも対応している。
同社・高橋孝典氏(グラフィックコミュニケーション事業本部 DX事業部 ソリューション開発統括グループ DX2グループ グループ長)は、「今回、商品化した紙さばきロボットシステムの最大の特徴は、既設機器を活用して省力化システムを構築できること。スタンドアロンでの提供により、様々なお客様の利用シーンに応じてフレキシブルに提案できることが強みと言える。また、メンテナンスについてもロボットメーカーとのアライアンスにより、充実したサポート体制を構築している」と説明する。