回復傾向にある国内ITサービス市場
IDC Japan(株)(村橋俊介社長)は、このほど2021年の国内ITサービス市場ベンダー売上ランキングを発表した。
2021年の国内ITサービス市場規模は5兆8,712億円、前年比成長率は3.2%であった。ベンダー売上の上位5社は、1位から順に富士通、NTTデータ、日立製作所、NEC、IBMとなった。
サービスセグメント別に見ると、プロジェクトベース市場は、DX関連の需要の高まりや、SAP関連およびクラウドマイグレーション需要の継続、また、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響からの回復も見られ、上位10社のうち8社がプラス成長を示した。マネージドサービス市場は、クラウドを含めた包括的なITインフラのアウトソーシングなどの需要が高く、上位10社のうち9社がプラス成長となった。
サポートサービス市場では、従量課金型サービスが好調に推移したほか、ウインドウズ7のサポート終了や消費税増税前の駆け込み特需の反動減の終息、新型コロナウイルスの感染拡大によるハードウェア出荷遅延からの回復もあり、上位10社中8社がプラス成長を示した。
産業分野別に見ると金融ではオンライン系銀行、クレジットカード、損害保険など、各ベンダーがそれぞれ異なる領域で売上を伸長。製造および流通では、顧客によって新型コロナウイルスの影響からの回復に差が見られたが、SAP関連の需要が引き続き高かった上、流通ではeコマースやデジタルマーケティングなども成長の牽引役となった。
売上額の前年比成長率が最も高かったのは、7年連続でアクセンチュアとなった。顧客のデジタル化、業務改革を支援するためのコンサルティング、設計/構築、運用、BPOサービスまでを一貫してサポートする一連のサイクルが効果的に機能していることが、その成長を支えているとみられる。
国内ITサービス市場では、産業分野によってばらつきはあるものの、プロジェクトベースを中心に新型コロナウイルス感染拡大の悪影響からの回復が進んでいる。同時に、新型コロナウイルス感染拡大が企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを加速した部分もあった。また、政府によるデジタル庁の設置など、今後のITサービス市場のシェアに影響を及ぼす可能性のある動きも見られる。
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