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2024年度の工場デジタル化市場は1兆8,420億円

 (株)矢野経済研究所は、国内の工場デジタル化市場を調査。製造現場におけるIoT化の実態やAIなどのテクノロジー活用動向、スマートファクトリー/デジタル工場、CPS/デジタルツインへの取り組みなどを明らかにした。

 同調査によると、国内の工場では、様々な業種・業態において生産設備・機器の稼働監視や維持管理、製品の外観検査・検品、資材や搬送機器等の位置情報管理において、IoT・クラウド・AIなどを使ったデータ収集/データ解析やモニタリングといった取り組みが進んでいる。これにより、異常検知・故障監視、遠隔監視、省エネ/エネルギー消費の見える化、次世代型品質保証、高度な自動化、現場作業者向け業務支援の高度化などが進展している。

 この背景には、2010年代後半から製造装置・生産機械や自動搬送機、さらに製品自体にも当初からIoT機能が組み込まれ、対象の稼働データや画像情報、位置情報、各種センサーデータなどが収集・蓄積できる体制が整備されてきたことがある。

 2023年度はコロナ禍による工場向けシステム投資案件の保留・見合わせが一段落し、既に予定していた案件が再稼働を含めて動き出したことなどがマーケット拡大での追い風になった。2023年度の工場デジタル化国内市場規模(ユーザー企業の発注金額ベース)は、前年度比103.7%の1兆7,670億円と推計した。

 製造業におけるビジネスモデル変革を考えると、例えば従来は主流であった製品単品での売切りモデルは徐々にではあるが減少している。それに反比例して、製品などの購入後のサポートやメンテナンス支援、消耗品提供などを含めたサービス販売モデル(従量課金モデルや、定額/サブスクリプションモデル、バリューシェアリングモデル、アフタービジネスモデルなど)へのシフトが始まっている。

 サービス販売モデルの代表例としては、MFP(複合複写機)でのカウンターチャージモデルがある。このモデルは、生産設備・機器やユティリティ設備、産業用ロボットなどでの採用も始まっており、既に一部のコンプレッサーメーカーが提供する圧縮空気量に対する従量課金モデルなどが該当する。その他にも設備は機器メーカーなどが保有し、ユーザ企業は設備使用量や使用時間に応じて課金されるモデルなど、定額/サブスクリプションモデルやバリューシェアリングモデルなども採用が始まっている。

 2024年度では、自動車を中心とした輸送用機械器具製造業での旺盛な工場デジタル化投資や、半導体工場の国内新設及び半導体生産能力の増強、さらには円安の定着、経済安全保障や中国リスク対応といった外部環境変化に伴う「製造業の国内回帰」も追い風となっている。2024年度の工場デジタル化国内市場規模は前年度比104.2%の1兆8,420億円を見込む。

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