日本の2022年プラスチックリサイクル市場は238万tの見込み
(株)矢野経済研究所は、日本、EU、米国のプラスチックリサイクル市場の動向を調査し、リサイクル技術の動向、参入企業動向、将来展望などを明らかにした。
これによると、2015年の国連サミットでのSDGsの発表以降、脱炭素や循環社会に対する世界的な意識が高まったほか、2017年の中国による廃プラスチックを含む廃棄物の輸入規制、2019年発効の改正版バーゼル条約による輸出入対象となる廃棄物品目の見直しなど、排出国による廃プラスチック対応が必要となったことにより、プラスチックリサイクル市場は変革期を迎えている。
2022年の日本、EU、米国の各地域のプラスチックリサイクル量(重量ベース、マテリアルリサイクル(MR)とケミカルリサイクル(CR)計)は、日本が238万t、EU1,052万t、米国320万tを見込んでいる。日本国内の飲料業界におけるリサイクルでは、使用済みPETボトルを原料に新たなPETボトルを製造するBottle to Bottle(BtoB)を積極的に推進しており、飲料メーカー各社では2030年までのBtoB目標値を設定している。PETボトルは自治体による回収スキームが構築されており、100%に近い回収率に達しているという特長を有する。
日本国内の容器包装業界では、環境配慮設計の推進や軽量化・薄肉化によるプラスチック使用量削減、詰め替え容器の開発など3R(Reduce、Reuse、Recycle)のうち、リデュースに該当する取り組みが先行してきた。昨今では再生材やバイオマス材の使用についても積極的に進められているほか、一部ではリユース容器の検討も進められている。また、自治体や企業間連携により、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどの店舗に回収ボックスを設置し、リサイクルスキームの構築を目指す取り組みも見られる。
自動車のリサイクルについては、先行するEUでは、2022年のELV指令改正により2025年以降新しく製造される自動車に対してリサイクル材活用の義務化の検討が進められている。欧州大手OEM(自動車メーカー)では積極的なリサイクル樹脂の活用を進めており、一部OEMではリサイクル材含有率の目標値も発表している。
これまで化石資源由来のプラスチック製品は廃棄物問題や気候変動など環境破壊の一因と見なされ、プラスチック製品に使用する材料を紙などの他素材へ代替する「脱プラスチック」が進められてきたが、「脱プラスチック」を過度に進めることにより、地球環境や生態系に影響を与えてしまうという懸念もある。
こうした中、「プラスチックは環境に悪い」というイメージを払拭し、プラスチックの位置付けを一新するためにも、使用済み製品を回収・再資源化し、再びプラスチックとして再生させるプラスチックリサイクルの重要性が、これまで以上に高くなっている。
プラスチックは、使用済み製品をもう一度同じ製品として再生させる水平リサイクルが可能という強みがあり、最近では飲料メーカーによるBottle to Bottleの取り組みが社会に浸透しつつあるほか、OEM(自動車メーカー)によるCar to Carといった取り組みも注目を集めている。
こうした水平リサイクルをさらに発展させ、例えばSpoon to Spoon、Cup to Cupなど、プラスチックからプラスチックへの循環をブランディングする(取り組み自体に付加価値をつけてブランド化し、一般に認知、普及させる)ことにより、プラスチックリサイクルのさらなる拡大につなげることが期待される。
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