「証拠力」が問われる電子サイン
IDC Japan(株)(竹内正人社長)は、このほど国内電子サインソフトウェアの市場動向を発表した。
2020年初頭に生じた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大を契機としたリモートワークの必要性の高まりや、押印のための出社問題を契機とした電子サインに関連した電子署名法などに関する政府見解が相次いで公表され、2020年における国内電子サイン市場は急拡大している。
2021年2月にIDCが実施したユーザー調査によると、社内外の用途において、自社システム/クラウドサービスを合算した電子サインの利用状況は31.5%程度の企業が利用している状況で、2020年7月の調査と比較して、利用率が1.9ポイント上昇した。また、100人〜999人規模の中堅企業において前回調査と比較して7.0ポイント利用率が上昇しており、大企業中心に利用されてきた電子サインが中堅企業にも拡大しつつあると推察される。
また、業種別でみると金融/公共/サービス(不動産を含む)で利用率が相対的に低い状況だが、2021年9月1日に施行されたデジタル改革関連法案の施行や各省庁における書面交付/押印の見直しによって、今後電子サインの利用が浸透していく、と予測している。
一方で、同調査における電子サイン利用における課題として最も多かったのが「法的にどこまで有効か不明瞭」であった。2020年、2021年に法的整備や見解公表を含めた電子サイン利用の環境は整ったものの、ユーザー企業における認知が十分に進んでいない状況や電子サインによって成立した文書の証拠力に関しては、ユーザー企業の判断に委ねられる面が多く、契約によってどの種類の電子サインを用いるか、利用時に用いる当人認証にどのような手法を用いるか、本人確認を行うか否か、などの選択においてユーザー企業が参考にできるユースケースの蓄積が少ないことも要因にある、とIDCではみている。
現在、日本国内においては複数の電子サイン/ソリューションを提供するベンダーが市場参入しており、今後も参入事業者の拡大やアプリケーションソフトウェアへの電子サイン機能の組み込みなどが期待される。
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