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カミヤアートパッケージ(長崎)

自動給紙カッティングプロッタ「DG-5070Plus」で高付加価値創出

小ロット貼り箱の実運用に活用

 貼り箱メーカーとして長崎・波佐見の地に根を下ろす(株)カミヤアートパッケージ(本社/長崎県東彼杵郡波佐見町皿山郷249-1、前田智崇社長)。新工場を拠点に様々な差別化戦略を展開する同社は、その一環として今年7月、トヨテック製の自動給紙カッティングプロッタ「DG-5070Plus(振動刃付)」を導入した。従来はサンプル制作用と捉えてきたカッティングプロッタであるが、「実際の小ロットの案件に使用できると判断した」と前田社長。小ロット対応力と高付加価値創出の切り札として運用を開始している。

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「受注できる案件が拡大した」と前田社長

陶器類の貼り箱から、菓子、酒類の小ロット貼り箱へ業容を拡大

 同社は昭和46年に創業した貼り箱を主力とする化粧箱メーカーである。陶器の町として知られる地において、当初は地場産業である焼き物を納めるための箱づくりから歩みを始めた。しかし、陶器産業の衰退とともに需要は縮小し、新たな活路を模索せざるを得なくなる。その転機となったのが、オンデマンド印刷を活用した小ロットオリジナルパッケージの提供であった。

 「陶器以外の分野でも小ロットでパッケージを作れるのではないかと考え、お菓子や酒類といった異業種に展開した」と三代目の前田智崇社長は振り返る。現在では取引先の約7割が首都圏に集中しており、富士フイルムのショールームにも同社の製品が展示されるなど、品質面でも高い評価を得ている。

 二代目の時代にオンデマンド印刷を開始して以来、複数のメーカーを使用してきたが、現在は富士フイルムの「Revoria Press」を主力機に据える。生産性・品質のいずれも高水準を実現し、小ロットから大ロットまで幅広い注文に対応が可能な体制を整えている。また、貼り箱の製造工程においても、全自動貼り機やトムソン機を導入し、急な大口案件にも柔軟に対応できる体制を構築している。

 昨年7月に新工場を竣工した背景には、老朽化や設備増設への対応に加えて、従業員のモチベーション向上という狙いがあった。「職場環境が整えば人材確保にもつながると考えた」と前田社長は話す。さらに新工場は、食品を直接収容できる衛生環境を確保しており、お菓子業界など衛生面を重視する顧客からも安心して採用される体制を整えた。

自動給紙と排出処理の機能が機種選択の大きなポイントに

 数年前まで、前田社長の中で「カッティングプロッタ」といえば、あくまでもトムソン機で抜く前のサンプルを作るための機械という認識にとどまっていた。そんな同社の視点に大きな衝撃を与えたのが、トヨテック製の自動給紙カッティングプロッタ「DG-5070Plus」であった。

 初めて目にしたのは数年前、九州印刷情報産業展でのことだ。富士フイルムのブース視察に行った際、たまたま隣に出展していたのがトヨテックで、偶然見つけたのが出会いとなった。その中、とくに注目したのが、自動給紙と排出処理の機能である。「現在は複数のメーカーから発売されているようだが、当時はDG-5070Plusしかなく、機種選択の大きなポイントになった」と振り返る。

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「DG-5070Plus」の前で前田社長(左)とオペレーターの女性社員

また、従来のカッティングプロッタは通常、一枚一枚の手差しが必要であり、試作以上の生産運用は現実的でなかった。しかし、「DG-5070Plus」は、B2相当サイズのシートを自動で給紙・カット・排出まで行うことができる。前田社長は「このカッティングプロッタであれば、サンプル制作だけの用途にとどまらず、実際の仕事に使えるのではないかと直感した」と話す。

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