成長市場の生産力強化〜リスロンGL644アドバンス導入
文化堂印刷(株)(本社/神奈川県小田原市、萩野健治社長)は、このほど新たな生産設備として(株)小森コーポレーション製の四六全判UVオフセット6色枚葉印刷機「リスロンGL644アドバンス」を導入。2025年8月より本格稼働を開始した。今回、同社の森田篤氏(最高製造責任者(CTO)経営企画室長(CSO)/CMO補佐)、浦井昌彦氏(本社工場製造部 部長兼工場長)、山岸正喜氏(本社工場統括/アッセンブリ事業統括)の3氏に、同機導入の背景や今後の事業戦略などについて聞いた。

同社は1946年7月創業の総合印刷会社。現在、同社では、オフセット輪転印刷機7台、オフセット枚葉印刷機では、菊全判UVオフセット印刷機3台と四六全判UVオフセット印刷機1台のオフセット印刷機を設備し、出版印刷から商業印刷、パッケージ印刷まで幅広いニーズに対応している。さらに、現在は化成品などの成長市場向けの高付加価値印刷領域にも進出している。
今回のリスロンGL644アドバンスの導入は、既設の他社製・四六全判UVオフセット印刷機(5色機)の老朽化に伴う入れ替え設置となる。その導入の背景として森田氏は、近年、受注が増加している化成品分野への対応だと説明する。
同社では、これまで菊全判機3台と四六全判機1台で紙と化成品の原反となる特殊原反の印刷を行ってきた。しかし、2018年に導入した四六全判機は、中古モデルのため老朽化が進み、印刷準備に時間を要することが多く、また、トラブル発生の頻度も高く、生産工程全体に影響を及ぼしていた。そのため同社では、この問題を解消し、工場全体の最適化を実現するための新たな生産設備導入を検討していた。加えて入れ替え機については、既設機同様の四六全判機に絞り、機種選定を開始した。
四六全判機を模索した理由について森田氏は、「市場では四六全判機を設置する印刷会社が少なくなり、サイズ特性による差別化が図れることが最大の理由である」と説明する。
圧倒的な効率化機能を評価
機種の選定については、他社メーカーも検討したが四六全判機のため、その対象は限定されていた。そのため以前から関心を寄せていたKOMORIの「つくばプラント」を訪問。実機デモを見学した浦井氏は「ロングラン時における色の安定性、ジョブ切り替え時の立ち上がりの速さなどに期待を感じた。さらに自己学習機能KHS-AIによる印刷準備時間の大幅短縮などの機能に、これまでにない大きな魅力を感じた」と、さまざまな最新の効率化機能を評価し、導入を決断したと語る。

同社が導入したリスロンGL644アドバンス(コーター付)は、商業印刷をはじめ、ユニークなフォーマットサイズにより、とくにパッケージやカードといった厚紙印刷で生産を効率化する四六全判オフセット印刷機。同社が導入した6色モデルには、分光式色調管理装置PDC-SXやインライン枚葉機用印刷品質検査装置PQA-S V5のほかeミストやインターデッキ、インクジェットヘッドによるシートナンバリングシステムなどの多彩なオプションが搭載されている。

これらの新機能を活用することで同社では、既設機と比較して立ち上げ時間を1/3に短縮できると見込んでいる。さらに、この準備時間の短縮は、高価な原反を使用する化成品印刷の損紙低減にも寄与することから資材コストの削減にも効果を発揮できると確信している。
「印刷機の準備時間が短縮できた余剰時間を印刷生産に利用できる。これにより生産性は大幅に向上するはず」(浦井氏)
さらに浦井氏は、KOMORIのサポート体制も導入理由の1つであると説明する。「KOMORIのサポート拠点は、全国に設置されているので、仮にトラブルが発生した場合でも迅速に対応してもらえる。これは印刷会社にとって非常に心強いサービスであり、大きな魅力でもある」
同社では保有3台の他社製・菊全版機の内、1台を化成品専用機とし、これまで以上に化成品生産の強化を図っていく。リスロンGL644アドバンスについては、紙と化成品の兼用機としての運用を予定しているという。