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ウエノ、自動位置合わせで画像比較とAI文字照合

検版作業の属人化を解消[パッケージ印刷向け検査ソフト「Sustainable APRON」]

 ウエノ(株)(本社/大阪市淀川区西中島7-4-17 新大阪上野東洋ビル12F、上野靖史社長)は、画像比較からAI文字照合までをサポートするパッケージ印刷向け検査ソフトウェア「Sustainable APRON(サステナブル エプロン)」を昨年リリースし、その操作性や自動化機能が評価され、検版作業の効率化や属人化解消のツールとして注目を集めている。

 多様な形状が混在するパッケージ印刷分野の検版工程では、メディアに収めるために回転や変倍がかけられた原稿も多く、これに対してオペレータは手作業によって原稿の向きや倍率を指定し、位置合わせを行う必要がある。これは非常に煩雑かつ手間のかかる作業で、うまく位置合わせできなければこの作業を何度も繰り返すことになり、これを理由に、購入した検版ソフトを使っていないという会社もあるという。ウエノの執行役員・ソリューション部の平松直彦部長は「この位置合わせに起因するトラブルには多くのパターンが存在し、それぞれにノウハウが異なる。それを判断できる人材は希少で属人化する傾向がある」と話す。

 これら課題を背景に開発されたAPRONは、ファイルをドロップインするだけで、画像サーチ機能によって自動で位置とサイズを合わせて画像・文字比較を行うというもの。画像比較の「APRON-CV」、テキストの変更点を色分けする文字比較の「APRON-DF」、AI-OCRによる文字認識の「MojiMir(モジミール)」で構成される。

APRON-CV

 展開図など原稿同士が違う方向でも、自動で回転をかけながら照合が可能。さらに縦横比固定の倍率合わせではなく、縦と横が独立して自動位置合わせができるのが大きな特徴だ。ラベルフィルムなど横長・縦長、文字の長体・平体にも対応している。


ueno_apron_1.jpg
自動回転で位置合わせ

 また、マルチPDF対応も差別化機能のひとつ。ページ指定や変倍混在にも対応し、スキャンした複数PDFデータとの比較・重ね照合ができる。これまでのようにページ毎にRIP処理したTIFFデータの作成が不要になる。

 一方、トンボ内検査や画像サーチ機能によって、単ページと見開きページのデータ比較やページ全体と異なったサイズの一部分のみのデータ比較、トリミングされたサイズが異なるデータ比較も可能である。

 「従来ソフトで1分30秒かかっていた照合作業が、APRONなら1分に。手作業による従来ソフトだと、この作業を何度か繰り返すことになる。APRONはマルチタスクで並行処理が可能なため、作業効率の大幅アップが期待できる」(平松部長)

 また、検査ソフトの多くが専用ビューワーを必要とするが、APRONはWebブラウザで表示確認できるHTMLを書き出す機能がある。画面のあおりはもちろん、赤・青重ね表示、位置ずらし、サイズ変更も可能だ。さらに、アニメーションGIFデータ(比較元と先のブリンク)も書き出すことができ、メールに添付して営業や顧客に送るなどの用途がある。

APRON-DF

 フォント埋め込みマルチPDFの検査レポートを出力。修正前後のPDF内の文字をテキスト比較し、色分けした結果で、どんな修正が行われたかを確認できる。

 また、Acrobatで確認・変更履歴がわかるレポートも出力。Acrobatの注釈機能で確認者のコメントを次工程への申し送りに利用することもできる。

MojiMir

 Google APIを使ったAIによるテキスト認識を行うことで、アウトライン済みPDFとスキャン画像でも文字照合が可能である。

 また、デザイン変更などで、テキストの検査エリアが異なっていても比較でき、Word・Excelからの原稿PDFとレイアウトされたデザインデータの検査もできる。


ueno_apron_2.jpg
位置合わせ後のPNG画像からAI-OCRで文字比較

 標準価格(税別)は、1ライセンス98万円。また、APRON-DFを除いた3クライアント版のServer Editionも用意。いずれもMojiMirは、最初の1年間は無料で付属されるが、2年目以降は1年更新のサブスク25万円/年となる。

 「テレワークが普及する一方で、検版工程においては、『高額でプロテクトがかかったソフトを社外に持ち出せないため、校正のためだけに出社する』といったケースも耳にする。リーズナブルな料金設定のAPRONなら、これらを解決できるだけではなく、営業が客先で実際に検版作業を見せることもでき、柔軟な検版工程を構築できる」(平松部長)