新戦力で収益性を追求〜KP-コネクトで生産管理体制構築
リスロンGX40RPアドバンス導入事例
印刷・製本事業を核に業績を伸ばし、広報PR支援や動画撮影なども行う、1950年創業の(株)光陽メディア(本社/東京都新宿区、明石康徳社長)。同社・柏工場(千葉県柏市)では、出版印刷から商業印刷まで幅広く手掛け、印刷から製本加工、発送、書籍の在庫管理までをワンストップで提供し、多様な顧客ニーズに対応している。生産性向上と自社内の生産量増加を目指し、KP-コネクトを基盤とした生産管理体制を構築、2024年10月からはリスロンGX40RPアドバンス(菊全判両面オフセット枚葉印刷機)を本稼働させた。導入効果や今後の展望について、明石社長、取締役製造本部長柏工場長の船木和彦氏、製造本部次長の行武良明氏、印刷部課長の石井知氏に聞いた。

KP-コネクト プロの活用で生産体制の刷新を図る
同社の生産性向上と自社内の生産量増加に向けた取り組みは、2019年に、KOMORI印刷機の稼働見える化を行うKP-コネクト ベーシックの導入から始まった。明石社長は「実績を正確に把握・分析し、次の施策や受注活動に生かせるようにと導入した」と語る。
その後、工場全体の工程管理を行うKP-コネクト プロに移行。経緯については「東京本社にある下版を管理する部署と柏工場にある印刷管理部門をどう連携していくかが課題であった。そこでKP-コネクト プロを導入して、予定表を共有する仕組みを整備した。タイムリーにスケジュールが分かるため、電話での確認が減り、スムーズなコミュニケーションができるようになった」と説明する。
行武次長は「以前は、印刷の進捗は都度現場に電話しないと分からず、生産管理で組んだ予定が現実に即していないことがあった。導入によって、スケジューラ画面を一目見れば誰もが状況を把握できるようになり、生産管理側での予定の組み方が今までに比べて非常に効率良くなった。また、ジョブの進捗状況への意識も変わった。行える仕事が入れられないなどのチャンスロスが少なくなり、売り上げも伸びている」と話す。

現在は、リスロンGX40RPアドバンス、UV対応リスロンG40、他社製両面1色機の3台と製本加工機の情報をKP-コネクト プロで共有し、一元的に予定・実績を管理する取り組みを後加工まで広げている。
全社一丸で取り組んだ生産機能強化と最新印刷機導入
リスロンGX40RPアドバンスは、昨年10月に本格稼働させた新鋭機で、更新時期を迎えていた2台をダウンサイジングし4台から3台体制へと変更した。KP-コネクト プロを用いた分析から、1台減らしても仕事の量や質を維持できる確信を得ていたという。
明石社長は「昨年度の重要なプロジェクトの一つがこの新台の導入であった。目的は、印刷機の入れ替えだけでなく、前後工程を含む柏工場全体の生産性向上と生産量増加を図ること。全社一丸となって生産と管理の機能強化や組織再編に取り組んだ結果、昨年度上半期はこれまでにない成績を収めることができ、新台の稼働が勢いを後押ししていると感じている」 と話す。
リスロンGX40RPアドバンスの選定理由と導入効果
船木工場長は、選定の経緯について「出版社との取引が多く、とくに学習参考書で支給される紙は大半が特寸紙である。天地方向では通常よりも12〜13ミリ短く、効率的に両面を仕上げるためには機械選定が重要になる。具体的には、片咥えの印刷機から選ぶ必要があった」とし、「これまで使用していた他社製ダブルデッキ型表面4色/裏面4色機では、表裏の見当精度やファンアウトなどの課題があり、調整するオペレーターに大きな負担がかかっていた。その点で、ストレスなく作業できるRPタイプのKOMORI機を選定した」と経緯を説明した上で「同機は、デジタル化という面で目を見張るものがあった。とくに下版データと見比べて印刷物の文字欠けなどを検知するPDF照合や、不良紙の特定に役立つナンバリングシステムは、人の目で行っていた検品作業を機械がやってくれるため、オペレーターの精神的負荷がものすごく軽減されている。特寸紙に色を管理するためのカラーパッチが入れられ、また自動見当マークも小さいため入れられる。さらに 切り替え作業の自動化や見当精度向上によって、製品の仕上がりが安定したことは、予備紙の削減にも寄与している」と話す。

石井課長は「PQA-S(インライン品質管理装置)やPDF照合装置で大きな反応がなければ検品なしで進めており、短納期、コスト削減に貢献していると思う。また、印刷中の濃度変化はKID(コモリインフォメーション・ディスプレイ)で確認できるので、抜き取り検査の回数も減らせている」と話す。
船木工場長は、印刷部門の生産体制について 「4台6名体制が、3台5名体制になった。1人減ったにもかかわらず、前年とほぼ同じ売り上げを達成した。オペレーターが機械に慣れると、今後さらに大きな収益を期待できる」と明かす。
配置転換が可能になった人員は、同時期に導入した自動紙積機を担当している。段取り面の充実化が図れ、生産効率もさらに上がっているという。
KP-コネクト プロで出荷完了までの全工程の改善ポイントを可視化
今後は、KP-コネクト プロを基盤とした生産管理体制を、従来の後加工までに加え発送工程まで広げ、工場内の作業スケジューリングを1本化する計画だ。

行武次長は「製品が完成するまでの作業時間と出荷までに発生する待機時間を可視化することで、製品が"寝ている時間〟を明確にし、効率改善のポイントを見つけたいと考えている。下版から出庫までのリードタイムを短縮することは、チャンスロスやコストメリットの観点から、大きな効果をもたらす。KP-コネクト プロの効果的な活用は、営業の受注活動においても競争力を強化する重要な武器となるでしょう」と話す。
明石社長は「『印刷と製本を中心とする生産体制の維持』と『印刷・製本以外の収益構造の確立と発展』の両目標を実現するために、人材や組織の在り方をどのようにしていくべきか、全社員参加で議論を深めている。3年から5年での目標達成を目指して取り組んでいく」と展望を語った。