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視点の行方

成長する脱炭素化GXの国内IT市場

印刷ジャーナル 2021年10月5日

 IDC Japan (株)は、2021年 脱炭素化GX(Green Transformation)に関する国内IT市場のビジネス機会に関するレポートを発表した。
 これによると、IDCは2021年の国内GX IT市場規模は前年比18.2%増の4,995億円、2020年〜2025年の年間平均成長率(CAGR)は22.6%、2025年の国内GX IT市場規模は1兆1,715億円と予測している。
GXは、従来の事業所や事業活動の消費エネルギー量を抑制することや、企業の生産物である機器の消費電力を抑えることのみではなく、企業活動の価値観や、ビジネスの進め方、生活習慣自体の変革をもたらすこととIDCは捉えている。脱炭素化を契機とした企業活動の価値評価の仕組みの変化や、新規ビジネスの創出、生活習慣自体の変革など、GXはエネルギー産業のみならず、IT業界にとって大きなビジネスチャンスとなる。
IDCが行った企業のIT部門への調査結果では、GXは全体的には約80%の人に認知されている状況であり、GXにおけるデータビジネス創出の可能性についても、産業全体の約60%が可能性を感じていることが分かった。テクノロジー導入の当初の目的では、ブロックチェーン、エッジコンピューティングでは最初から脱炭素を目的として導入しているという回答が多くなっています。脱炭素化の取り組みを支援するITベンダーに期待する点は「技術力」「提案力」に続いて「共創力」が3番目に高く、「価格」よりも高くなっている。
脱炭素化におけるITの取り組みはまだ始まったばかりであるが、脱炭素化を軸に異業種連携による技術やユースケースの開発の動きが出てきている。また、脱炭素化の動きは、エネルギーの「地産地消」が基本となることから、それぞれの地域特有の循環型経済(サーキュラーエコノミー)の構築に貢献できると期待される。IDC Japan ITスペンディングのグループマネージャーである村西明 氏は、「ITサプライヤーは、脱炭素化を契機として従来にない新たな関係性を構築し、サービスを開発していくことが重要になると考えられる」と分析している。
今回の発表はIDCが発行した「2021 年脱炭素化GXに関する国内IT市場のビジネス機会」に報告されている。
同調査レポートでは、脱炭素化GXに関する国内IT市場について、2021年〜2025年の予測を主要テクノロジー別、主要産業分野別で提供。また、脱炭素化社会におけるITシステムの分析のために、GXを包含する大きなコンセプトとしてのSDGs/ESGとITとの関係性、GXを促進するITについての定義、IDCが定義するDXの解説、国内各産業のIT部門へのGXの認知度や取り組みに関するユーザー調査の分析結果を提供している。