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視点の行方

臨時交付金が電子図書館導入を後押し

印刷ジャーナル 2021年9月25日

 (一社)電子出版制作・流通協議会(電流協、山口拓哉会長)は、このほど電子書籍を図書館で貸出する電子図書館(電子書籍貸出サービス、以下『電子図書館』)を2021年7月1日現在で導入している自治体の公共図書館の情報を更新し、公表した。

 それによると7月1日の電子図書館の導入数は、229自治体、222電子図書館となっている。前回発表した2021年4月1日以降との比較では、自治体数でみると24自治体の増加、電子図書館21件の増加となり、昨年度から引き続き増加の傾向がみられることが確認できた。

 この結果、図書館がある自治体数1,388との比較で、電子図書館導入比率は16.5%、全自治体数17,941(基礎自治体+都道府県)と比較すると12.7%となった。

 また、電子図書館は図書館施設を必要とされないことから、公共図書館施設がない9の自治体でも「電子図書館」を設けるといったケースがある。9の自治体(図書館施設を持たないで電子図書館を実施している自治体)は、北海道天塩町、岩手県矢巾町、埼玉県神川町、千葉県長柄町、神奈川県山北町・松田町、熊本県玉東町・和水町・南阿蘇村、沖縄県久米島町となっている。

 また、電流協では、都道府県別電子図書館導入値を集計し、公表している。それによると電子図書館の導入数が多い都道府県としては、大阪府17館(自治体普及率38%)、東京都17館(同27%)、埼玉県15館(同23%)、兵庫県14館(同33%)、福岡県13館(同21%)、奈良県12館(同30%)、千葉県12館(同21%)、愛知県12館(同21%)、茨城県10館(同22%)、熊本県9館(同19%)、北海道9館(同4%)となっている。

 一方、まだ電子図書館の導入がない府県は、宮城県、秋田県、福井県、鳥取県、岡山県、佐賀県、鹿児島県となっている。

 電子図書館の地区別導入率をみると、北海道・東北4.1%、関東21.1%、中部9.2%、関西21.8%、中国・四国11.4%、九州・沖縄13.8%となっている。

 さらに電流協では、電子図書館の増加要因として、内閣府地方創生準備室から発表されている令和2年度新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業の電子図書館関係活用を集計しており、2020年から2021年に新規に電子図書館を導入した多くの自治体では、この臨時交付金を活用したと推察している。