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視点の行方

コロナ禍で加速したDXの推進

印刷ジャーナル 2020年12月15日

 IDC Japan(株)(竹内正人社長)は、このほど国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)動向調査結果を発表した。
 IDCでは、2020年10月に、DXを実施している国内企業で、実際にDXに関わっているマネージャー以上の200人を対象として、DX実施の目的、組織体制、課題、技術基盤、KPIなどを調査。同調査レポートによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がDXに与えた影響については、DX推進の大きな阻害要因になっておらず、限定的なものとなった。回答企業のうち7割近くが、DXの領域、予算、体制が拡大した、優先順位の変化や取捨選択はあるが継続する、「COVID-19以前」と変わらず推進する、としている。また、COVID-19の感染拡大は一般的には在宅勤務など働き方の見直しを迫ることとなったが、一方で、DXの推進企業では、働き方の見直しもさることながら、社内業務プロセスの見直しや、データや情報の活用を行おうと考える企業も多い調査結果となった。COVID-19は、DXを通じた新たな企業の形を作り出すことにつながっている。
 2020年の国内企業のDXへの取り組み状況については、「DXを企業戦略と全体的、長期的に連携させている企業(戦略一致企業)」が前年同調査と比較して8.1ポイント増の51.5%となった。DXに実際取り組んでいる企業にとって、ビジネス戦略とDX戦略を一致させることは「当然」となっていることが確認できた。その「DXを企業戦略と全体的、長期的に連携させている企業(戦略一致企業)」と「DXを企業戦略と部分的、短期的に連携させている企業(戦略分離企業)」との比較において、DXの優先度を聞いた質問では、戦略一致企業は「ビジネスの継続性」「人材の卓越性」「業務の卓越性」「顧客体験」などあらゆる項目で戦略分離企業よりも回答率が高い状況となった。これは、戦略一致企業が、業務のあらゆる面においてデジタル技術を活用し、変革しようという意識が強いものとみられる。
 DXをビジネスの変革と正しくとらえ、ビジネス戦略とDX戦略の一体化を図る企業は増加している。その一方、中長期的なDXロードマップの不在や、既存基幹ITシステムとDXシステムとの連携不足は、真の変革を実現する際の阻害要因になる可能性もある。