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視点の行方

上場企業の「新型コロナウイルス影響」は135社で1兆円超

印刷ジャーナル 2020年4月5日

 東京商工リサーチはこのほど、上場企業における「新型コロナウイルス」の影響について調査した。
 国内外で感染者数が拡大する中、上場企業が相次いで今期業績の下方修正を開示した。それによると、業績影響の数値を開示した135社の減少額合計が売上、利益ともに1兆円を超える結果となった。
 3月27日正午までに、新型コロナウイルス関連で情報開示した上場企業は765社に達した。また、自主的な開示はないが、東京商工リサーチの独自調査で工場や事業所、店舗の稼働休止など何らかの影響が判明した上場企業が18社あった。合計783社の上場企業が新型コロナウイルスの対応を明らかにした。これは、全上場企業3,778社の20.7%にとどまる。
※同調査は1月23日から、全上場企業の適時開示、HP上の「お知らせ」等を基に集計したもの。
※「影響はない」、「影響は軽微」は除外し、「新型コロナウイルス」の記載はあっても、直接的な影響を受けていないケースは除外している。
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情報開示した765社のうち、決算短信や月次売上報告、業績予想の修正などで新型コロナウイルスによるマイナス影響に言及したのは192社。このうち135社が売上高や利益の減少などで業績予想や、従来予想と実績値との差異による下方修正を公表した。業績の下方修正分のマイナスは合算すると売上高が1兆1,944億円、最終利益が1兆1,177億円に達した。
 このほか、292社が「影響の懸念がある」、「影響を精査中」、「影響を確定することは困難として織り込んでいない」としており、まだ業績下方修正した企業の2倍以上の企業が影響額を明らかにできていない。
 工場の操業停止・休業延長などは45社。また、店舗・事業拠点の休業は52社だった。感染源となった中国国内での工場操業や事業再開が増える一方、ここにきて欧米など、中国以外の工場の操業停止や事業拠点の休業などを公表する企業が増加している。
 従業員などに感染者が出たことを公表した企業は62社。この他、感染防止のために在宅勤務やテレワーク、時差出勤の実施、従業員の働き方の変更を公表した企業が54社あった。実際に感染者が発生した際の企業としての対応策や、BCP(事業継続計画)に対する重要性が増している。
 業種別では、製造業が最も多く317社(構成比40.4%)を占めた。サプライチェーンの乱れや人手確保の問題などから正常稼働には至っていないケースも多い。次いで、サービス業117社(同14.9%)、小売業110社(同14.0%)と続き、上位3業種で約7割を占めた。