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視点の行方

2020年紙・板紙の製紙メーカー国内出荷量は前年比0.5%減と予測

印刷ジャーナル 2020年1月15日

 (株)矢野経済研究所(水越孝社長)はこのほど、国内外の紙・板紙市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
 日本製紙連合会資料によると、2018年の紙・板紙の製紙メーカー国内出荷量は、前年比1.4%減の2,454万2,000tとなった。このうち、紙は同3.6%減の1,301万7,000tと、紙の内需は5年連続の減少であった。新聞・雑誌、チラシの減少、ICT化による影響など、需要構造の根本的な変化により印刷情報媒体としての紙は減少しており、減少幅は今後拡大していく可能性が高い。
 一方で、板紙は前年比1.2%増の1,152万5,000tとなった。2018年は猛暑であったことで、段ボール原紙の最大需要分野である飲料向け需要が堅調だった。また、EC拡大による通販向けの段ボール需要も堅調に伸びている。段ボール原紙など産業資材については、増減はあるが当面、微増基調が続くとみている。

2020年以降、東南アジアや北米、日本でも段ボール原紙の増産ラッシュの見込み

 段ボール原紙の世界規模の需要は、今後確実に拡大する見込みである。そのため、世界の製紙メーカーでは、印刷用紙から段ボール原紙、衛生用紙への生産シフトが進んでいる。東南アジアやインドでは、当面1,500万t規模の段ボール原紙設備の増産計画があり、北米でも300万t規模の設備投資が予定されている。日本でも一部生産設備廃棄分を除けば、80万tの増産が計画されている。
 2020年の紙・板紙の製紙メーカー国内出荷量を、前年比0.5%減の2,390万tになると予測している。印刷情報媒体においては、引き続き構造的な減少要因から逃れられないものの、東京オリンピック・パラリンピックや民法改正などの影響による需要喚起要因に期待したいとしている。段ボール原紙については、大規模な天候不順等がなければ、微増ペースで推移する見通しであるという。