2019年度のデジタル印刷市場は3,146億円の見込み
(株)矢野経済研究所は、国内のデジタル印刷市場を調査し、各カテゴリの動向や参入企業動向、将来展望を明らかにした。
国内デジタル印刷市場規模(事業者売上高ベース)は、2017年度が前年度比2.5%減の3,152億7,500万円、2018年度は同0.5%減の3,136億4,900万円となり、市場は減少が続いている。2011年度から2012年度にかけての市場拡大の要因となった震災関連の大型BPO案件規模が、2017年度以降の2年間で急速に縮小したことがその背景にある。
ただ、2018年度はDPS(データプリントサービス)市場の落ち込みも前年度ほどではなく、またPOD市場が前年度よりも成長率が高かったため、デジタル印刷市場の減少は小幅に留まる結果となった。
パーソナライズドDMの実績は、これまで極わずかに限られていたが、ここ1〜2年、一部の印刷企業において、新たな実績が出始めている。
近年、パーソナルなアプローチを推進するデジタルマーケティングの精度が確実に高まってきている中で、そのアプローチツールとして、DMの開封率の高さが再評価されてきており、ここ数年、DMへの回帰が見られるようになってきていることがその要因の1つであるようだ。
ただ、最大の要因としては、ユーザー行動を起点としたタイムリーなアプローチがDMでも可能となったことにあると考えられる。現在、デジタルマーケティングの活用が進み、コンテンツのパーソナライズ化の他、送付タイミングのパーソナライズ化にも焦点が当てられるようになってきた中で、ユーザー個々の最適なタイミングで送付できるかどうかが、訴求効果を高めるポイントとなっている。それを受けて、DMの生産工程を自動化し、納品までのリードタイムの大幅短縮を実現した印刷企業が出てきており、DMにおいてもデジタルツールに近い即時的なアプローチが可能となってきている。
以前より、パーソナライズドDMの活用が進まない最大の要因として、費用対効果の不明瞭さがあったが、こうしたデジタルマーケティングの精度向上やDMのデジタルツール化によって、費用対効果がある程度示せるようになってきており、それがパーソナライズドDMの実績拡大に繋がっていると考えられるという。一方、まだその実績は一部の先進的な顧客に限られており、未だにコストの高さが受注への障壁となっている状況も続いている。今後、パーソナライズドDMのさらなる需要開拓が進むか、その動向が注目される。
依然として震災関連のBPO案件の規模縮小は続くが、その縮小幅は小幅になる見込みで、DPS市場は増加に転じる見通し。一方、POD市場では、フォトブック市場が低価格サービス拡大による端境期を過ぎ、再び成長率は拡大しており、またオフィスコンビニ市場も増加の見通しとなっている。今後、デジタル印刷市場は回復基調に転じると予測している。
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