出版業界でデジタル印刷活用が拡大
(一社)電子出版制作・流通協議会(電流協)は、(一社)日本出版取次協会(取協)と共同で組成する「取協電流協合同PT」において実施した「書籍製造におけるデジタル印刷活用の実態調査」の結果をこのほど公表した。
同調査は、出版業界におけるデジタル印刷の活用実態を明らかにするため、取協電流協合同PTが出版社を対象に初めて実施した調査。書籍を中心に刊行している出版社300社を対象に、2026年7月16日から9月11日まで実施し、142社から回答(回答率47%)を得ている。出版社におけるデジタル印刷(デジタルショートラン、以下「DSR」)の認知・検討・活用状況、主な用途、導入効果、採算性、課題、今後の活用意向および必要とされる支援を調査した。
回答出版社では、DSRをすでに活用している出版社に、限定的なタイトルで試行・評価した経験のある出版社を加えると、52.8%がDSRを活用または試行していた。DSRの主な用途・目的では、「重版の小ロット化」が77%で最も多く、欠品防止、在庫コスト削減、売り逃し防止、継続的な書籍製造・絶版解消が続いた。
DSRの活用によって得られている、または期待されている効果としては、「品切れ防止・機会損失の低減」が約6割で最も多く、在庫・返品削減、重版対応の迅速化、絶版解消が続く。
DSRの導入・活用上の課題として最も多かったのは、「採算性が見えにくい」の46%であった。次いで、自社の書籍仕様では適用が難しいこと、小ロット重版に伴う業務量の増加、印刷品質への不安、利益効果の評価が難しいことなどが挙げられた。
一方、すでに活用している出版社では、「利益が出ている」「採算が取れている」とする回答が約半数を占めた。また、試行・評価段階の出版社では、約6割が「条件次第で採算が成り立つ」と回答している。今後の活用方針について、回答全体では「未定」とする出版社が最も多かった一方、すでにDSRを活用している出版社の約9割、試行・評価段階にある出版社の約6割が、今後の活用拡大意向を示した。実際に活用・試行することで、DSRの効果や適用条件への理解が進み、活用意向が高まる傾向がうかがえる。
今回の調査では、採算性や運用面などの課題がある一方、活用経験のある出版社を中心に今後の拡大意向が確認された。これらの結果は、課題解決に向けた環境整備を進めることで、DSRの利用がさらに広がる可能性を示している。
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