30数年ぶりに信頼の勝田断裁機を更新
トンボマスター機能を評価
炭鉱の町とともに歩み、地域に根を張ってきた老舗印刷会社が、30数年ぶりに断裁機を更新した。(有)日高印刷所(本社/福岡県中間市、日高慶太郎社長)は昨年11月、(株)勝田製作所の小型断裁機「KC66」を導入。長年使い続けてきた勝田断裁機への信頼を受け継ぎながら、オンデマンド印刷物のトンボ合わせをサポートする「トンボマスター」機能を高く評価している。仕事の「入口」を変えようとする同社の挑戦を、進化した断裁機が現場から支えている。

炭鉱の町とともに歩み、地域に根を張ってきた老舗印刷会社
日高印刷所の創業は大正2年。福岡県中間市に炭鉱会社ができるタイミングで創業し、当初はその専属印刷会社としてスタートした。
筑豊地区は、かつて石炭産業で栄えた地域である。炭鉱会社の印刷物を手がけながら事業を伸ばしてきたが、エネルギー革命によって時代は大きく変わった。石炭から石油へ―。産業構造の変化とともに炭鉱は閉山し、同社も厳しい局面に立たされた。
それでも事業の灯を絶やさなかった。2代目が会社を継ぎ、さらに3代目で現会長の日高教夫氏が経営を担い、地域企業としての基盤を築いてきた。地元企業や商店、自治体との関係を深めながら、地域に必要とされる印刷会社として歩みを重ねてきたのである。
そして現在、4代目として舵を取るのが日高慶太郎社長だ。
同社の仕事は、名刺、封筒、伝票、冊子、チラシといった一般商業印刷を中心に、官公庁関連の印刷物、記念品、Tシャツ、マグカップ、のぼり、看板のデザイン手配まで幅広い。特定分野に絞るのではなく、顧客からの相談に応じながら対応領域を広げてきた。現在も売上の約8割を北九州エリアが占めており、地域密着型の印刷会社として確かな存在感を示している。
「安い印刷」からの脱却へ―仕事の入口を変える挑戦
一世紀以上の歴史を持つ老舗企業とはいえ、印刷業界を取り巻く環境変化とは無縁ではいられなかった。
20年来続く価格競争、ネットプリントの浸透、そしてコロナ禍を契機とした急速なデジタル化。紙を取り巻く環境が大きく変わる中、日高社長もかつては「売上を上げるためなら安い仕事も受ける」という考え方だったという。
転機となったのは、税理士事務所を変更したことだった。新たな視点として示されたのが、「売上」ではなく「粗利」で経営を考えるという発想である。
「安い仕事をいくら積み上げても、会社が良くなるとは限らない。そこから考え方が変わった」
その頃、日高社長が改めて注目したのが「ブランドマネージャー認定協会」の考え方だった。実は10年以上前に講習を受けた経験があったが、ここで改めてその価値を見つめ直した。小さな会社でもブランディングによって独自の価値を打ち出せる―。その考えに共感し、収益の柱に育てようと「トレーナー」の資格を取得した。
さらに、「ブランドづくりには発信の仕組みも欠かせない」として、「上級SNSマネージャー」の資格も取得。現在はこの2つを両輪として、顧客企業の支援に取り組んでいる。

同社が目指しているのは、単に印刷物を受注することではない。
顧客企業の強みは何か。何に困っているのか。経営者の頭の中にある考えをどう整理するのか。業務をどう見える化し、どう「言語化」していくのか。そうした課題整理の先に、印刷、SNS、情報発信といった提案を組み立てていく。
「印刷会社という事業ドメインを変えるつもりはない。変えるのは、印刷に入ってくる仕事の入口である」
安さで選ばれる時代ではない。だからこそ、自社ならではの価値をどのように提供していくのか。その模索が、同社の現在地である。
そして、その変革を進める一方で、現場にも変化が求められていた。小ロットニーズへの対応を見据え、同社ではPOD機を2台導入。受注の中身が変わる中で、後工程にも新たな対応力が求められていた。











































