芳野YMマシナリー、「変革を楽しめる」風土へ〜新たな柱となる「太陽」生み出す
新社長インタビュー 髙橋 淳哉 氏
国内屈指の製本機械メーカーである芳野YMマシナリー(株)(本社/埼玉県戸田市美女木2-27-25)は、新たな経営体制のもと、次代を見据えた事業展開を加速している。代表取締役社長に就任した髙橋淳哉氏は、前社長の島崎啓一氏が代表取締役会長に就任したことによるツートップ体制で経営のスピードアップを目指す。100年以上にわたり培ってきた大型無線綴じラインの技術と、「お客様と共に機械を開発する」という伝統を継承する一方、海外市場の開拓や省人・省力化機器、検査装置など、新たな市場への挑戦も本格化させていく。「変革を楽しめるような企業風土を作っていきたい」と語る髙橋社長に、新社長就任の抱負と今後の事業展開、さらにIGAS2027に向けた展望を聞いた。

代表2人体制で経営のスピードアップへ
芳野YMマシナリーは今回、島崎前社長が代表取締役会長に就任し、髙橋氏が代表取締役社長に就く新たな経営体制へ移行した。その狙いについて髙橋社長は、「製本業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、生き残っていくためには様々な案件にこれまで以上のスピード感を持って対応していかなければならない」と説明する。
同社では2024年度を初年度とする5ヵ年の中期事業計画を推進している。初年度は目標を達成したものの、2年目となる2025年度は目標に届かなかったという。
「今回の事業計画は私が中心となってチームを作り、策定したものでもある。3年目となる今期は、必ず目標を達成する。そのタイミングで社長に就任したことに、大きな責任と重圧を感じている」
このように語る髙橋社長が同社に入社したのは2014年。大学卒業後は自動車部品関連企業に勤務し、自動車組立工場への納入部門で調達や在庫管理を経験。その後、営業、営業管理、営業戦略などにも携わった。
芳野YMマシナリー入社後は資材部に配属され、前職で培った経験を生かして調達や在庫管理を担当するとともに、それまで同社になかった仕組みを取り入れるなど、業務改善にも積極的に取り組んできた。さらに担当部署の枠を越え、全社的な取り組みについても様々な提案を行ってきたという。
「前々社長、前社長ともに私の提案を取り入れていただき、実行させてくれたことには本当に感謝している。これからもこの会社が昔から持っている良い部分と、異業種から来た私だからこそ持てる視点をうまく組み合わせたい。社員がより働きやすい環境を整え、お客様に満足していただけるサービスを提供できる会社にしていきたい」
100年企業の伝統を守りながら変革へ
100年以上にわたって受け継がれてきた「芳野」ブランド。その中で髙橋社長が「守らなければならないもの」として真っ先に挙げるのが、同社の主力製品である大型無線綴じラインの技術である。
「市場環境の変化にともない、大型ラインの需要そのものは年々減少傾向にある。しかし、現在も多くのユーザーが芳野製の設備を生産の中核として使用している。お客様が使ってくださっている限り、決して迷惑をかけるわけにはいかない。大型無線綴じラインの技術は、これからもしっかり次代へ引き継いでいかなければならない」
そして、もう1つ継承していくのが「お客様に寄り添い、お客様と共に機械を開発する」という同社のものづくりの姿勢だ。
「お客様に最適なサービスとソリューションを提供することは、当社が長年大切にしてきた伝統である。これは既存の主力製品だけでなく、これから取り組む新しい商品でも変わらない」
一方、変えていかなければならないものもある。
同社では島崎会長が社長を務めていた数年前から、海外市場の開拓と新商品開発を積極化。そうした取り組みが徐々に成果につながり、従来とは異なる仕事の進め方も増えてきた。
髙橋社長は「古い会社であるがゆえに、長年にわたり同じ流れで仕事をしてきた社員も多い。このため、新しいやり方や考え方に抵抗を感じる社員もいると思う」とした上で、「だからこそ、社内でしっかりコミュニケーションを取り、全員が前向きに仕事のできる環境を作っていく。新しいことを受け入れるだけでなく、『変革を楽しめる』ような企業風土にしていきたい」と強調する。
海外市場にも着実な手応え
国内の製本市場が縮小傾向をたどる中、同社が現在、成長戦略の1つとして力を注いでいるのが海外展開である。
国内では大型無線綴じラインを中心に現在も堅調な受注を確保している一方、グローバル市場では欧州メーカーが圧倒的な存在感を持つ。芳野YMマシナリーもこれまで韓国やインドネシアなどへの納入実績を持っているが、市場開拓の余地はまだ大きい。
そこで同社は4~5年前に中国に現地法人を設立。中国市場で一昨年に1ライン、昨年にも1ラインを導入し、現在も複数の引き合いが進んでいるという。
さらに今年はメキシコに2ラインを出荷する。
「海外も少しずつ芽が出始めている。国内市場の落ち込みを海外である程度カバーしながら、新商品によってさらに事業を伸ばしていくことが現在の戦略である。国内のお客様にこれからも迷惑をかけないためにも、会社としてしっかり生き残っていかなければならない」
海外展開は単なる新市場開拓ではなく、国内ユーザーへの長期的な供給・サービス責任を果たしていくための成長戦略でもある。










































