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京印工組、新会館を「情報の受発信基地」に

内藤一徳新理事長インタビュー〜京都の知恵と団結力で「稼げる集団」へ

印刷関連7団体との連携をさらに深化

 京都の印刷産業を支える上で欠かせないのが、京都府印刷関連団体協議会を構成する7団体との連携である。

 印刷物は、印刷会社だけで完成するものではない。製版、製本、紙加工、資材、機械など、多くの関連業種の技術と協力によって成り立っている。前体制でも関連7団体による合同新年互礼会や「京都ものづくりフェア」への出展などが進められてきたが、新体制でも、この横の連携をさらに強化していく。

 内藤理事長は、新会館を7団体や関連企業との交流にも活用し、業界内で情報、技術、人材が循環する仕組みをつくりたい考えだ。組合員同士の連携だけでなく、印刷周辺企業との協業によって、各社単独では対応できない仕事や新たな事業を生み出すことを目指す。

 共済事業など既存の組合事業にも引き続き力を入れる。全国では財政面に課題を抱える地域組合も少なくないが、京都工組は新会館建設と資産活用によって、今後の活動を安定的に進める基盤を確保できる見通しだ。

 上部団体である全日本印刷工業組合連合会に対しては、全国規模での情報発信、人材確保、DX支援、印刷産業の社会的価値向上に向けた取り組みを期待する。

 「全印工連の取り組みには敏感に反応し、しっかり順応してついていかなければならない」

 全印工連の瀬田章弘会長とは同年代で、感覚や問題意識にも共通する部分が多いという。全国組織と地域組合の連携を深め、京都で得た成果を全国に発信するとともに、全国の先進事例を京都の組合員企業へ還元していく。

「地域のよろず屋」から地域課題解決企業へ

 内藤理事長が代表取締役を務める内藤印刷は、1872年創業。亀岡市で150年以上にわたり事業を続けてきた老舗印刷会社である。

 同社が一貫して掲げてきたのが、地域密着型の経営である。紙への印刷だけにこだわらず、企画、デザイン、販売促進、看板、店舗装飾、地域情報の発信まで、地元企業や地域が必要とする仕事に幅広く対応してきた。

 内藤理事長は、自社を「地域のよろず屋」と表現する。

 「地域の情報交差点のような存在になりたい。紙はもちろん大切だが、紙だけにとらわれず、PRや広告、サイン関係にも力を入れている」

 同社は屋内外広告業の認可も取得し、印刷からサイン、広告、地域の魅力発信まで一貫して対応できる体制を整えてきた。かつて地域の個人商店でも低コストでカラー広告を掲載できる媒体として創刊した集合広告「バリューワン」や、亀岡市と共同で実施した紙袋共同購入事業なども、地域課題を事業によって解決してきた代表例である。

 近年では、その領域をさらに広げ、古民家再生や空き家問題の解決にも取り組んでいる。必要な資格も取得しながら、地域に増える空き家を新たな交流や事業の場として再生し、持続可能なまちづくりにつなげようとしている。

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京都府亀岡市の内藤印刷本社

 内藤印刷が掲げる理念は、「伝える、つなぐ、地域を動かす」である。印刷を起点に人と人、企業と地域をつなぎ、地域に新たな動きを生み出す。事業性と社会性を両立しながら、地域課題の解決と企業成長を同時に実現する「ローカルゼブラ企業」を目指している。

 2025年11月からは、亀岡商工会議所の会頭も務める。印刷会社の経営者という立場に加え、地域経済全体を見渡す役割を担うようになったことで、地域活性化への意識は一層強まっている。

 「印刷業を長く続けてきたが、印刷そのものだけにこだわってきたわけではない。商工会議所の会頭という立場もあるので、地域経済をどう活性化するかを常に頭に置いて動かなければならない」

 2026年9月18日から11月8日には、亀岡市を会場の一つとして全国都市緑化フェアが開催される予定である。地域の魅力を全国へ発信し、観光や地域経済を盛り上げる好機であり、内藤印刷としてもPRや情報発信の面から関わっていく考えだ。

 地域の課題を見つけ、企業、行政、住民をつなぎ、事業として解決する。内藤印刷で実践してきたこの考え方は、内藤理事長が目指す組合運営とも重なる。

団結力を組合の成長へ

 内藤理事長が好きな言葉として挙げるのが、「和をもって貴しとなす」である。

 異なる意見や立場を尊重し、対話を重ね、力を合わせることで大きな成果につなげる。その姿勢は、京都工組の約120社をまとめる上でも、印刷関連7団体との連携を進める上でも欠かせない。

 座右の銘は「一期一会」。人との出会いや縁を大切にし、それを地域や業界の発展へつなげていくという考え方である。

 組合員企業が直面する課題はそれぞれ異なる。企業規模、得意分野、地域、経営者の世代にも違いがある。すべての企業に同じ答えを示すのではなく、それぞれが必要とする情報やつながりを提供し、参加する価値を実感できる組合にしていく。

 その核となるのが、新印刷会館であり、京都工組がこれまで培ってきた横のつながりである。

 「組合に必要なのは、やはり団結力であり、組織力の強化である」

 伝統を守りながら、新たな知恵を加える。慎重さを保ちながら、挑戦へ踏み出す。組合員同士が力を高め合い、京都の印刷産業を「稼げる集団」へ変えていく。

 新会館の建設を追い風に、京都府印刷工業組合は新たな段階へ入ろうとしている。