いままでにない表現力[Revoria Press PC1120導入事例]
「価値で選ばれる存在」目指す
熊本を拠点に、プランニングからコンテンツ制作、印刷・加工までを手がける(株)アートプロセス(本社/熊本県熊本市中央区春竹町春竹495、本田和敬社長)は、小ロット・パーソナライズ・高付加価値ニーズの高まりを見据え、2024年、新たな主力生産機として富士フイルムのプロダクションプリンター「Revoria Press PC1120」(以下PC1120)を導入。同時に、それまでオフセット機とデジタル機の併用体制であった社内の印刷設備を、デジタル機へと一本化した。これは、会社として事業構造や価値提供のあり方を見直した上での経営判断だったという。本田社長、専務取締役の山本武史氏に、この決断に至った経緯や現時点での効果などについて伺った。

筐体のつくりから確信した「生産機としての圧倒的な信頼性」
同社は1975年、現会長の工藤元隆氏により製版会社として創業。効率化を追求した設備投資を積極的に進め、時代の変化に即した事業基盤を構築するとともに、高度な画像処理技術・カラーマネージメント技術を活かしたサービス展開で、九州エリアのクライアントから厚い信頼を得る。95年に企画・デザイン部門を新設し、上流工程をトータルに手がける業態に。97年には他社に先駆けてデジタル印刷機を導入し、一般企業向けの営業を開始。これを機に、受託型から課題解決型へとビジネスモデルを転換していった。その後、商業印刷からサイン&ディスプレイ、デジタルコンテンツ制作へと事業領域を拡大。「革新と創造によって未来を開拓する」を理念に掲げ、市場の変化に応じて柔軟に業態変革を図りながら成長を続けている。
そんな同社がPC1120の導入を決めた背景には、単なる老朽設備の更新ではなく、会社の将来を見据えた大局的な経営判断があった。オフセット印刷機の稼働率が徐々に低下し、価格競争が激化。オフセット向きの仕事がなくなったわけではないものの、「自社で刷る必然性」が薄れていく状況に、経営として強い違和感を覚えていたという。
「そもそも社内で印刷を続けるべきか、というところから議論を始めたが、印刷物の製造をやめてしまうということは考えられなかった。では、持つべき印刷機はオフセットかデジタルか。オフセット機を入れると大きな投資になり、営業は機械を回すために『印刷物の仕事を取る営業』をせざるを得なくなる。それは本末転倒。であれば、デジタル印刷機で差別化を目指すべきだという結論に至った」(本田社長)
オフセットの代替としてデジタル印刷機を活用するのではなく、「デジタル印刷ならではの新しい価値を生み出す」という観点から、同社は社内生産をデジタルに一本化することを決断した。では、その生産機としてPC1120を選んだのはどんな理由からだったのか。
「4社のデジタル印刷機を候補に挙げ、展示会などで各社のデジタル機を見学したが、その中でPC1120は、筐体のつくり、内部構造が他の機種とまったく違うと感じた。搬送系も含めてオフセット印刷機のように堅牢に設計されているのが、パネルを開けて中を覗いただけでわかる。この先5年、10年と使っていく上で一番安心できるのはどれかと考えると、これしかないと思った」(山本専務)
また、本田社長はサポート対応のきめ細かさも決め手のひとつになったと語る。
「従来機の運用でも感じていたが、富士フイルムのサポートはやはり安心感がある。新機種の導入にあたっては、立ち上げの際にオペレータートレーニングなどで頻繁に来てもらうことになるから、この点も非常に重要な要素だった」
名刺だけでも実感できる、表現力の高さ
PC1120の導入によって、同社の印刷設備はデジタル印刷に特化したシンプルなものになったが、表現の幅は飛躍的に広がっている。ゴールド、シルバー、ホワイト、クリア、TX(テクスチャード)といった特殊トナーを活用することで、質感や奥行きのある印刷表現が可能になり、従来とは明確に異なる価値提案ができるようになった。このことは、社内にさまざまな変化をもたらしている。
「特殊トナーと用紙の組み合わせによって、どんな表現が可能になるのか、デザイナーと印刷オペレーターが一緒になって日々研究している。正解がひとつではないので、その過程自体が勉強になるし、当社独自のノウハウにもなっていくと思う」(山本専務)

こうした検証の中から生まれた象徴的な表現のひとつが、社員の名刺に採用している「プラチナホワイト」だ。黒や濃紺などの色紙にシルバーを敷き、その上からホワイトを重ねることで、通常の白とは違った、メタリック感のある上質な印象を与えている。この名刺は、単なる自己紹介ツールにとどまらず、営業の現場で大きな役割を果たしている。
「名刺交換をしたときに、一目で『違い』を感じていただける。そこから『当社ではこういう印刷もできるんですよ』と自然に話が広がっていく」(本田社長)
営業の現場で名刺そのものが訴求力のあるサンプルとなり、説明のきっかけになっているのだ。
「『かっこいいね』とまず言ってもらえる。それは営業にとって本当にありがたいし、お客さまとの距離も縮まる。『自分たちも同じような名刺をつくりたい』と言っていただけることもあり、特殊トナーを使った名刺の引き合いは確実に増えている」(山本専務)

また、エシカルペーパーを使ったSDGs名刺作成サービス「WELL KAMI」でもPC1120を活用しているが、ここではトナーの定着性の高さが発揮されているという。
「エシカルペーパーは表面に凹凸のあるものが多いが、PC1120で出力すると色の乗りがとてもいい。紙によってはTXトナーを使うが、使わなくてもきれいに出力できることが多い」(山本専務)











































