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視点の行方

2017年度の文具・事務用品市場規模は2014年度以来のマイナス成長

印刷ジャーナル 2019年2月15日

 (株)矢野経済研究所は、国内文具・事務用品市場を調査し、商品別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
 それによると、2017年度の国内文具・事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比1.1%減の4,642億円となり、2014年度以来のマイナス成長であった。
 文具・事務用品市場は、景気後退期に法人需要を中心に大きく落ち込み、その後しばらく低迷したが、ここ数年は個人需要のヒット商品が創出された筆記具が牽引し、文具・事務用品市場全体を底上げしていた。ただ、2017年度は成長を続けてきた筆記具が前年度割れで推移したほか、紙製品は減少を継続、事務用品類も大半の品目が横ばいから減少となったことから、市場全体も縮小した。
 2017年度を分野別に見ると、筆記具が前年度比0.3%減の979億円、紙製品が同1.8%減の1,587億円、事務用品が同0.9%減の2,076億円であった。
 注目トピックとしては、文具・事務用品を自分好みにアレンジすることや、コレクション(収集)用途といった個人需要が高まりをみせている。これを波及させているのは、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)といったSNSであり、スマートフォンの普及によるインターネット環境の一般化の影響も大きい。これらの需要はとくに女性層を中心に活発化しており、「女子文具」といったカテゴリーを創造し、市場における存在感を急速に高めている。
 これらの商品では、その性格上、小ロット・多品種化となる傾向が強く、今後における文具・事務用品の商品トレンドもこの傾向を一定程度強めていくことも想定され、矢野経済研究所では、これに対応する生産体制などの工夫が求められてくるものと考えているようだ。
 文具・事務用品市場は、国内においては成熟市場であり、今後も人口減少を背景とする構造的な需要減少は不可避の状況にある。このような環境下、多くの文具・事務用品メーカーは、個人需要に対応した高機能・付加価値商品の投入による需要活性化施策を推進するとともに、海外マーケットの開拓を追求している。