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いおざき印刷(富山)

PO糊で製本加工開始〜少ない糊量で製本強度が格段に向上

 いおざき印刷(株)(本社/富山県富山市、五百崎平社長)は、企画・提案からプリプレス、プレス、ポストプレスまでの一連の工程をワンストップで提供する総合印刷会社。その同社では、昨春より既設の無線綴じ製本機でパラシュート(株)が提供する無線綴じ製本専用ポリオレフィン糊(PO糊)を採用し、稼働を開始した。今回、同社・五百崎和孝COOと製造部の髙木直哉主任にPO糊を採用した経緯や導入後の成果などについて聞いた。

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五百崎COO(右)と髙木主任

 同社は、1971年1月に創業した印刷会社。現・代表の体制になってからSCREEN製CTPシステムや小森コーポレーション製の両面兼用4色オフセット印刷機を導入するなど事業領域拡大を目指し、積極的な設備投資を実施。その後も急速に変化する市場ニーズへの対応を目的にデジタル化や環境に配慮した印刷機や製本機の導入を積極的に推進している。現在では、オフセット印刷機のほか、富士フイルムビジネスイノベーション製のフルカラープロダクションプリンティングシステム「Revoria Press PC1120」をはじめとするデジタル印刷機を導入し、オフセット印刷機とデジタル印刷機の強みを最大限に生かす運用体制を構築している。同時に後加工機の拡充も押し進め、ホリゾン製の無線綴じ製本機「BQ-480」をはじめ、中綴じ製本機、丁合機、ミシン加工機、折機など、多彩な後加工設備で小ロットから大ロットまで、多種多様な後加工への対応を図っている。

EVA糊の製本設備でも使用可能

 その同社がPO糊を採用した理由について五百崎COOは、「信頼するビジネスパートナーであるパラシュートからの提案を受けて採用した」と説明する。

 同社が運用を開始したPO糊は、無線綴じ製本専用ポリオレフィン糊。製本業界においてスタンダードなEVA糊を使った無線綴じ製本だが、他社と差別化するためには、PUR糊を使った無線綴じ製本しかないのが現状である。しかし、PUR無線綴じ製本は、高額な設備投資に対して歩留まりが悪く、製本後に6時間程度乾燥時間が必要なことを考えると、PUR無線綴じを運用して利益にするには高いハードルがあった。

 PO糊は、EVA糊の設備で製本することが可能で、接着強度についてはEVA糊より大幅に強くなるため、製本した本を大幅に開くことが可能。また、現在使用している製本設備でも問題なく使用することができる。また、これまでは海外製品であったため、供給体制に若干の課題があったが、2026年3月から国内生産が開始されたため、その問題も解消している。

開きやすさと無臭の作業環境も導入メリットに

 同社では、2018年に導入した無線綴じ製本機「BQ-480」で運用を開始。運用開始当初は、EVA糊を使用していたことからPO糊と混在した製本加工を行っていたが乾燥後の品質に問題が生じたため、PO糊100%の充填状況にして改めて稼働を開始した。PO糊に完全移行後は、その問題も解消。取り扱いについてもEVA糊と遜色なく、従来通りの作業を行っているという。

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ホリゾン製無線綴じ機でPO糊を採用

 PO糊に切り替えたことで確認できたメリットとして髙木主任は「少ない糊量での加工」「製本加工の強度」「開きやすさ」「臭いのない作業環境」を挙げている。

 「少ない糊量での加工」ついては、「EVA糊よりも少量で品質を担保できる製本ができる」と髙木主任は説明する。また、少量で済むため加工後の不良発生の抑制にも効果を発揮しているという。

 このメリットは、経営面での効果も期待されており、五百崎COOは「糊の消費量を抑えることで資材コストの抑制につながる。現状では、EVA糊よりも若干コスト高の糊なのでトータルコストで考えると同じだが、今後は、より効率的、効果的な運用を検討していくことでコストが逆転できると考えている」と説明する。

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製本強度と開きやすさが向上

 「製本加工の強度」と「開きやすさ」については、EVA糊と比較して強度と開きやすさが向上しており、実際に切り替え後も顧客から不具合があったとの連絡もないという。

 「仕上がり品質を比較してもPO糊の方が優れていると実感している。実際にノートなどは開いたときにEVA糊では割れてしまうこともあるが、PO糊は自然に大きく開くことができる。これは使用するユーザーにとっても大きなメリットになる」(五百崎COO)

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PO糊で臭気のない作業環境を実現

 そして「臭いのない作業環境」ついて髙木主任は、「オペレーターとしては、非常に有難い効果である。臭いを感じながら作業する必要がないので安心して稼働できる」と、その効果を絶賛している。

新たな総合印刷会社へ

 同社は、PO糊を「BQ-480」、EVA糊を「BQ-480」設置以前に導入した無線綴じ機で運用を行っているが、今後はPO糊に統一した運用も視野に入れている。

 同社が現在、注力しているのが伝票印刷だ。デジタル化の普及・進展に伴い、手書きの伝票は、紙からデジタルへの移行を余儀なくされた印刷物の1つと言える。さらに薄い感圧紙に納品書や受領書、そして控伝票などの数種の絵柄を印刷し、丁合、断裁、糊付けなど複数の工程を経て完成と、手間のかかる仕事であることから近年では、多くの印刷会社がこの分野から撤退している。しかし、一方で手書きの伝票のニーズも少なからず存在することから、同社では、これらのニーズを全国から受注を集めて印刷・加工をコスト効率よく行うことで新たなビジネスチャンスとしての確立を目指している。すでに、そのための設備投資も実施。具体的には、全自動穿孔機や全自動三方断裁機、全自動ミシン加工機など、主に後加工設備を増強し、効率的な生産体制を構築している。

 さらにレーザー加工機やフラットベット型のUVインクジェット印刷機などを導入し、紙以外のメディアへの印刷にも挑戦している。

 五百崎COOは「当社は、一社完結のサービス提供を実践する総合印刷会社として事業を展開してきた。これからは伝票の掘り起こしや紙以外のメディアを使用した新市場開拓なども積極的に取り組んでいく。そのためには、良い職場環境に良い人財が集まり、良い生産設備で製品を提供し続けられる会社として成長していくことが重要である」と、時代のニーズに対応し、顧客・従業員満足を実践した新たな総合印刷会社を目標に今後も挑戦を続けていく方針だ。

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