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視点の行方

IoT推進の課題は人材不足

印刷ジャーナル 2018年12月15日

 IDC Japan(株)は、国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。同社では2018年8月〜9月、全国の従業員規模100名以上の企業を対象に「IoT利用企業動向調査」と「IoT担当者深堀調査」という2つの定量調査(Webアンケート)を実施した。
 「IoT利用企業動向調査」で回答があった3,320社の内、同社の定義するIoTの利用企業(以下、IoT利用企業)は211社で、利用率は6.4%であった。IoT利用企業の割合は継続的に増加しており、前年比で0.4ポイント、2015年比で1.5ポイント増加している。
 産業セクター別にみた場合、「製造/資源セクター」のIoT利用率は、組立製造業とプロセス製造業が牽引することで全体平均を上回っている。「流通/サービスセクター」では運輸、「公共/インフラセクター」では公共/公益、「金融セクター」では銀行が目立っている。IoT利用企業の多くは、社内業務プロセスの合理化/コスト削減を目的とした「社内用途」のIoTを利用。一方でIoTを顧客向けの製品/サービスの付加価値創出や新たなビジネスに役立てる「DX用途」を推進する企業も全回答の19.9%(42回答)を占めている。
 次に「IoT担当者深堀調査」では、企業の中で自身の業務の1割以上をIoTに充てる「IoT担当者」を対象に調査を実施。回答があった17,168名の内、1,051名(6.1%)がIoT担当者に該当する結果となり、これは昨年実施した推計よりも0.4ポイント増加している。また、5割以上を充てる「IoT担当者(主)」も1.7%存在することが確認できた。
 さらに、こうしたアンケート調査を基準として同社が実施した拡大推計によると、国内のIoT担当者の総数は約174万8,000人と見込まれる。IoT担当者のうち自身の業務の5割以上をIoTに充てる「IoT担当者(主)」の総数も46万8,000人に達するものと推計している。加えてIoT担当者が所属する企業では、IoT活用の専門組織が存在するケースが3分の2を占めている。新規事業の創出や全社的なデジタル変革といった、より広範なDXの一環としてIoT活用を進める企業が多く見られている。
 IoTを推進する企業の課題として「IoT活用を主導する人材の不足」が最多となっており、次いで「組織間連携の不足」が多くなっている。また「予算準備が不十分」や「収益性が見通せない」といった課題も浮き彫りとなった。