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視点の行方

世界の広告費成長率-2021年は大きな成長へ

印刷ジャーナル 2021年2月25日

 (株)電通グループは、世界59ヵ国・地域から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」を発表した。
 それによると世界の広告市場は、コロナ禍の影響で2020年は8.8%の減少となる見通しだが、2021年には5.8%の成長が見込まれ、世界の総広告費は約5,790億ドルになると予測。2022年には、広告市場全体がコロナ禍前の水準に戻る見通しで、6.9%の成長により、総広告費は約6,190億ドルになると予測している。
 2021年の広告市場成長を地域別にみると、西ヨーロッパが7.5%増、アジア太平洋地域が5.9%増、北米が4.0%増と、2020年の反動で、世界各地がプラス成長に転じると予想。成長率が高い主な国は、インド(10.8%増)、英国(10.4%増)、フランス(8.9%増)など。世界最大の広告市場である米国は3.8%増、2位の中国は5.3%増、3位の日本は5.3%増を予測しており、世界の広告市場全体に占めるこれら3つの市場のシェアは、それぞれ37.9%、17.6%、9.9%になると予想している。
 2020年は、コロナ禍においてもデジタル広告は媒体別で唯一プラス成長だったが、2021年もデジタル広告の2桁の成長を見込んでおり、これを原動力として広告市場全体が回復軌道へ転換する見込み。また、世界の総広告費に占めるデジタル広告費の媒体別シェアは初めて50.0%に達する見通し。デジタル広告の内訳としてソーシャルメディア広告(18.3%増)、検索連動型広告(11.0%増)、動画広告(10.8%増)が大きく成長する見通しとなっている。
 2020年に予定されていた世界的主要スポーツイベントが、2021年に実施されることで、とくにテレビ広告の成長が期待される。東京オリンピック・パラリンピック競技大会やUEFA欧州選手権などの大型スポーツイベントの効果により、2021年のテレビ広告費は世界全体で1.7%増の1,690億ドルとなり、世界の総広告費の約3割の水準を維持すると予測している。
 2020年度にコロナ禍によるマイナスの影響を強く受けた業種では、2021年には広告費が大きく伸長すると予測。具体的には、観光&運輸(28.4%増)、メディア&エンタテインメント(14.5%増)、自動車(13.8%増)など。また、テクノロジー、金融、通信など、コロナ禍においても力強さを発揮した業種では、一貫した成長が見込まれる。