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視点の行方

2020年度のインターネット広告市場は2兆円超に

印刷ジャーナル 2019年12月5日

 (株)矢野経済研究所は、国内のインターネット広告市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
 インターネット広告市場は年々拡大し、2020年度には2兆円を超える見込み。デバイス別でみると、PCブラウザ向け広告に比べ、スマートフォン広告が市場を牽引しており、2019年度には全体の約7割強になる見込みである。
 広告種類別でみると、検索連動型広告やアドネットワーク、DSP(Demand Side Platform)、インフィード広告、動画広告などの運用型広告が引き続き拡大しており、中でも動画広告は広告フォーマットとして特に拡大している。また、ソーシャルメディア広告はソーシャルメディア上の会話の内容や属性に応じたターゲット広告が可能であることから、プラットフォームとして拡大している。

インターネット広告提供事業者の事業領域の拡大と実店舗での広告効果測定

(1)事業領域拡大に向けた経営統合の増加
 インターネット広告提供事業者の経営統合が進んでいる。経営統合の背景には、有力なブランドを有する大企業などの広告主によるブランディングを目的とした案件が増える中、ブランドリフトのようなダイレクトレスポンスに留まらないインターネット広告へのニーズが多様化している点が挙げられる。また、消費者における消費行動やメディア接点の多様化などにより、インターネット広告に留まらないマスメディアとインターネット広告の組み合わせや、DMP(Data Management Platform)やCRM(Customer Relationship Management)などのデータ活用、屋外デジタル広告、実店舗の来店解析など、幅広いサービスの提供が求められている。そのため、各分野で強みを有する事業者同士が、経営統合という形で提供サービス範囲の拡大、強化を図っている状況である。
(2)実店舗での広告効果測定
 インターネット広告を出稿する広告主には、ECを含むWebサイトに加え、実店舗を有する企業が多い。近年、実店舗における来店者計測を実施するとともに、実店舗で得られたデータとインターネット上のデータを統合することで、消費者のOtoO(Online to Offline)の動きや、出稿したインターネット広告の効果測定を実施するケースが増えている。OtoOのデータ統合は、広告代理店やアドテク事業者などが提供するDMPで実施されるケースが多い。また、来店者計測に関しては、カメラやBeacon、Wi-Fi、赤外線センサーなどを使った来店計測ソリューションベンダが実施するケースが多いとみられる。実店舗での消費者行動が明らかになっていくことで、インターネット広告市場においては、広告が実際に来店に繋がっているかや、購買に結びついているか、といった点などの広告効果を検証することが可能となるため、より高い成果が求められる。
 インターネット広告国内市場規模は2023年度には約2.8兆円まで拡大すると予測する。