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視点の行方

産業分野での活用が期待される5G

印刷ジャーナル 2019年10月5日

 IDC Japan(株)(竹内正人社長)は、このほど5G(第5世代移動通信システム)の産業向け画像/映像IoT市場に関する分析を発表した。それによると4K/8Kなどの高精細画像/映像の伝送が、産業分野における5Gの最大のユースケースの1つであることが確認できた。
 5Gでは、高速大容量、超高信頼低遅延、多数端末接続などの実現が期待されており、中でも、4G(LET)からの最も大きな進化の1つがアップリンク(上り)の高速化であり、これを最も生かすことができる産業分野の用途として、高精細カメラやイメージセンサーで取得した画像/映像データのアップロードが挙げられる。5Gによって、このような大容量データのクラウド送信のハードルが下がることで、データ分析/活用のさらなる高度化が期待されている。より具体的には、(1)4K/8K高精細映像コンテンツのリアルタイム配信、(2)機械学習による画像認識、(3)3Dモデリングによる新たな価値提供のユースケースにおいて、5Gの活用が進むと分析している。ただし、5Gの本格普及には、通信モジュールの低価格化や基地局の配備で、サービス提供開始から数年を要すると考えられる。また企業などにおいて5Gの需要が増加するには、解像度の高い画像/映像アプリケーションの利用拡大やセンサーで取得した画像をAIで分析するなどのイノベーションの進展が必要となる。
 そのためIDCでは、早期に5Gの導入が進む産業分野の条件として(1)生産性を高めるための設備投資に積極的である(2)画像/映像活用の取り組みが成熟している(3)特定企業の管理責任下で変革に取り組むことができる、の3つを挙げている。
 (1)については、製造業における製品検査のためのマシンビジョンを始め、すでにイメージセンサーを活用した生産性向上や自動化に投資をしてきた産業分野の企業が、さらなる生産性向上に向けて5GやAIなどが積極的に導入すると予測している。(2)については、イベントのリアルタイム中継、パブリックビューイング、高精細VRコンテンツ配信など、新たな映像価値提供への取り組みが進むと考えられる。(3)については、5Gは今後、車両、ロボット、ドローンなど自律移動する機器に多く搭載されていくが、これらの自律移動機器の普及は、その安全性に関する法制度整備の影響を受けると分析している。