30数年ぶりに信頼の勝田断裁機を更新
トンボマスター機能を評価
32年の信頼が導いた更新。現場を止めないための選択
そうした変革を進める一方で、現場では別の課題が浮かび上がっていた。長年使い続けてきた断裁機の老朽化である。
今回更新したのは、30年以上使用してきた勝田製作所の断裁機だ。日高社長が2002年に同社へ戻った時点ですでに稼働しており、長年にわたり現場を支えてきた相棒ともいえる存在だった。
きっかけは、ある時発生した基板トラブルだった。幸いその時は対応できたものの、勝田製作所からは「次に同じような不具合が起きたら、もう部品がないかもしれない」と言われたという。
もちろん、設備更新は簡単な決断ではない。コストもかかる。しかも同社では、折機の更新も検討していた。
だが、優先順位を考えた時、答えは明確だった。
「折機であれば、万が一止まっても協力会社にお願いするという方法がある。しかし、断裁機が止まれば仕事そのものが止まってしまう」
断裁は、後工程の要である。印刷物を仕上げる最終局面でこの工程が止まれば、生産全体に影響が及ぶ。少人数で現場を回す同社にとって、それは避けなければならないリスクだった。
導入したのは、勝田製作所の小型断裁機「KC66」。営業担当者が自信を持って推奨したこの新世代小型断裁機を選んだ背景には、同社らしい堅実な判断がある。
そしてメーカー選定で迷いはほとんどなかった。
「ずっと使ってきた安心感があった。営業の方のフットワークも軽いし、何かあった時にきちんと対応してもらえる安心感は大きい」
日高社長は、勝田製作所を「断裁機に特化して長年やってこられたメーカー」と評価する。総合メーカーとは異なる、専業メーカーならではのノウハウ。その蓄積への信頼があった。
もっとも、今回の更新は単なる「古くなったから入れ替えた」という話ではない。
同社では、小ロット・多品種ニーズへの対応を進める中、オンデマンド案件が確実に増えてきていた。しかし、その現場には悩みもあった。PODを活用する小ロットの案件が増えていく中、PODは印刷がズレることがあることだ。
そのような中、同社が評価するのが「トンボマスター機能」である。これは、印刷された被断裁物の傾きをバックゲージで補正し、自動的にトンボ合わせを行うという機能。現場も「オンデマンド印刷はどうしてもトンボがずれることがある。その補正を機械側で対応できるのは非常に大きい」と高く評価する。

そのほか、シンプルで分かりやすい操作性、断裁寸法の調整がミリ、尺、インチの3種類に対応していることや、従来機では後方にも回って行っていた刃の高さ調整を前面側からだけで行えるようになったことなども評価している。

価値を生み出す「入口」、それを支える勝田断裁機による現場力
印刷会社を取り巻く環境は、これからさらに厳しさを増していく―。業回の将来をそのように見ている日高社長は、その一方で、印刷会社だからこそ発揮できる価値はむしろ大きくなっていくと考えている。
「安さだけでは生きていけない時代。では、お客さまにどんな価値を提供していくのか。そこにシフトしなければならない」
そのために同社が取り組んでいるのが、顧客企業の「強み」を見つけることである。
業務を見える化し、整理し、経営者の頭の中にある考えを「言語化」する。属人的になっている仕事の流れを整理し、社長がいなくても回る仕組みをどうつくるか、人材採用にどう生かすかまで含めて、一緒に考えていく。その先に、印刷という手段がある。
つまり、単に「印刷物をつくる会社」ではなく、「顧客の課題解決の入口に立つ会社」になることが、同社が目指している姿である。
「印刷会社という事業ドメインを変えるつもりはない。変えるのは、印刷に入ってくる仕事の入口である」
だが、どれだけ魅力的な提案ができても、それを確実に形にする現場がなければ意味がない。
同社が今回導入した勝田製作所の「KC66」は、オンデマンド印刷物のズレ補正をサポートするトンボマスター機能によって、現場の作業負担を軽減し、それが生産性向上にもつながっている。働き方改革が求められる時代にあって、こうした設備の役割はますます大きくなるだろう。
炭鉱の町とともに歩み、時代の変化を乗り越えながら地域に根を張ってきた老舗印刷会社は、いま再び変わろうとしている。その変革を足元から支えているのが、30数年の信頼を受け継いだ勝田断裁機なのである。











































