ページの先頭です
浜野製本所(福岡)

新規案件獲得に効果【自動給紙カッティングマシン「KBD AUTO CTM」導入事例】

正確なカッティング精度、スピードも評価

 (有)浜野製本所(本社/北九州市門司区高砂町6-4、濱野大社長)は創業から間もなく100年を迎える老舗の製本会社。製本専門業者が減少する中、小ロットや特殊加工といった「できること」を幅広く担ってきた同社は昨年12月、新たな付加価値の創出をめざして光文堂の自動給紙カッティングマシン「KBD AUTO CTM」を導入。金型不要のため、精密なカッティングを小ロットから対応できるようになり、従来はコスト的に採算が合わず、流れることもあった既存顧客からの新しいニーズに応える体制を整え、受注を伸ばしている。

hamano251204.jpg
KBD AUTO CTMの前で社員の方と一緒に濱野社長(左)

100年企業を目前に「変わらない規模」が支えた堅実な歩み

 同社は1927年の創業以来、無線綴じ・中綴じ・糸かがりを中心に、製本加工全般を一貫して担ってきた。現在の濱野大社長は3代目。30代半ばで事業を引き継ぎ、約15年にわたり同社の基盤を支えてきた。

 地域で長く信頼を得てきた理由について濱野社長は「特別な戦略があったわけではない」と前置きしながらも、創業期から「規模をむやみに拡大しない経営」が結果として功を奏したと語る。バブル期には設備投資や増員に踏み切る企業も多かったが、同社はあえてそれを行わなかった。もし当時に大型設備や土地購入などへ踏み切っていれば、現在の状況では維持コストが重荷となり、生き残れなかったかも知れない話す。

 もう一つの強みが、「内製化体制」である。先代は外注を嫌い、キャパシティを超えそうな案件でも自社で加工できるよう設備を揃えてきた。小規模ながら、製本に関する多様な作業を社内で完結できる体制が整っていたことは、時代が移ろう中でも同社の競争力を支えてきた。

 印刷会社の製本工程が機械化・内製化へと進む一方、上製本や帳簿類といった1冊、2冊の職人的な領域は依然として外部に依頼される。それは今も昔も変わらず、地域に専門業者が減った現在、北九州市では「浜野製本所に任せるしかない」という状況さえ生まれているようだ。そのような中でも同社は、その状況に甘んじることなく、精度と丁寧さが求められる小ロット案件に長年の技術力で対応し、確固たる存在価値を築いている。

金型不要のカッティングで小ロット対応が可能になり、受注領域拡大

 中綴じや無線綴じなど、印刷会社からの仕事が減少する中、従来の製本だけに依存しない「プラスアルファの付加価値」をつくること。これが同社が「KBD AUTO CTM」を導入した大きな目的である。濱野社長は数年前より、光文堂から導入の提案を受けていたが、昨年の「ものづくり補助金」採択をきっかけに、本格的に検討を開始。光文堂との連携で計画を進め、2024年12月に導入に踏み切った。

 導入の決め手となったのは、九州印刷情報産業展での展示と、メーカーのショールームで目にした実機のパフォーマンスだ。最大の利点は金型が不要であることで、濱野社長は「従来のトムソン型抜きでは、金型代として3万円ほどのコストがかかり、さらに製作に数日を要する。そのため小ロット案件は価格が合わず、見積もり段階で仕事が流れることも多かった。これに対し、KBD AUTO CTM」はデータさえあれば10枚でも金型なしで加工できる。サンプル制作の依頼にも即応でき、従来は取りこぼしていた案件がそのまま受注につながるようになった」と実績を話す。

 さらに、仕上がりにも大きな違いがあるという。トムソンでは、抜いた後に「バリ」と呼ばれるつなぎを数カ所残すことが多く、最終的に顧客側で抜き取る必要があるため、それを嫌う顧客も少なくない。カッティングマシンは完全抜きが可能なため、顧客に完全な仕上がり商品を届けることができる。

hamano2512042.jpg
正確・スピーディーなカッティングを実現する

 さらに、カッティングの精度を支えるのが、作業起点を読み取るカメラ機能である。印刷物に付されたマークを基準として読み込んで記憶するため、給紙が斜めに入ってきた場合でも正確にカット位置を補正する。細かい曲線や中心部分のくり抜きといった加工が安定して行える点も、濱野社長が高く評価しているところだ。

 小ロット案件だけでなく、導入により新たな受注も増えている。トレーディングカードの切り抜き、紙製ファイルや箱の加工、名刺ポケット付きの紙製フォルダ用のスジ入れ、さらにはシールのハーフカットまで、対応できる範囲は格段に広がった。濱野社長は「製本会社としての強みを活かしながら、今までにない仕事を受けられるようになった」と手応えを感じている。

hamano2512043.jpg
様々な新規案件の獲得につながっている

何でも相談できるパートナーとして、光文堂に厚い信頼感

 「光文堂とは30年以上の付き合いになると思います」。濱野社長はこのように語り、深い信頼を寄せる理由を説明した。迅速な対応と機械トラブルや資材の相談、仕事の相談まで、同社の事業を支える存在として長年にわたり深く寄り添ってくれたと話す。「とくに今の北九州支店長は同年代のため、相談しやすいですね」と濱野社長は話す。

 今後の目標について濱野社長は、「まずは当社をもっと知ってもらえるように努力したい」と力を込める。北九州市内では専門業者が減り、浜野製本所は「地域の製本会社の最後の砦」のような存在になりつつある。一方で県外での知名度はまだまだ少なく、新規顧客の開拓はこれからの大きなテーマとなる。新たに制作したホームページや、限られた時間での営業活動を通じて、小口案件も含めた幅広い取引先との関係づくりを進めていきたいという。

 製本の仕事は、効率やスピードだけでは語れない領域が多い。同社には1冊2冊の注文でも丁寧に仕上げる職人的な技術があり、印刷会社の細かな要望や困りごとに寄り添う姿勢がある。長年の信頼に加えて、「KBD AUTO CTM」により、同社は変革を進めながら2年後の創業100周年を目指していく。

注目コンテンツ