国府印刷社、推し活グッズに「きらめき箔」で高付加価値グッズを製作
缶バッジ、透明フィルムチケット、ポストカードなど
「推し活」市場の拡大にともない、グッズに求められる価値も大きく変化している。そのような中、(株)国府印刷社(本社/福井県越前市、有定耕平社長)は、缶バッジや透明フィルムチケットやポストカードといったグッズに独自のオンデマンド箔「きらめき箔」を掛け合わせることで、高付加価値なグッズの展開に取り組んでいる。近年は「推し活」グッズへの展開を本格化させ、プリンターや加工機の増設、技術の高度化、協力企業との連携強化など、開発・生産体制の拡充にも力を注いでいる。

同社が推し活グッズの取り組みを本格化させたきっかけは、2022年のプレミアム・インセンティブ(P・I)ショーでの手応えだった。御朱印やポストカードに「きらめき箔」を施したサンプルが注目を集め、キャラクターの版権を持つ企業との取引がスタートした。以降、BtoBの提案を進める中、グッズへの応用の可能性が広がり、本格的に推し活グッズの取り組みを開始した。
そして昨今、伸長の著しいのが「缶バッジ」である。現在、同社の推し活グッズの主力商材の1つとなっており、標準的な57mmサイズでの大量ロット受注が続いているという。「最近では5万個単位の受注が3回続くなど、イベントシーズンを中心に出荷量が増えている」と有定社長。通常仕様に加えて、2〜3割は「きらめき箔」を使用した高付加価値タイプの受注となっている。キャラクターごとに箔の色味や質感を変えるなど、作品世界との調和が図られている。

また、7月末には厚みのある透明フィルムチケットにも箔の加飾が可能なデジタル加飾機を導入した。また、従来のきらめき箔は平滑性のある紙でないと箔が付きにくいという課題があったが、同加飾機は凸凹のある紙でもきらめき箔が可能になるというもの。有定社長は「従来は困難だったレザック紙や和紙のような平滑性のない紙にも加工が可能となり、表現の幅が格段に広がった」と話し、今度のグッズアイテムの拡大を展望している。
「色」だけでなく「柄」でも魅せるきらめき箔の新サービスが誕生
「きらめき箔」は、高輝度なメタリック箔を使用し、視覚的なインパクトを演出するオンデマンド加工技術であるが、同社ではこの技術を進化させた2つのバリエーションを展開しており、グッズ製作の自由度を高めている。
その1つは「きらめき箔プレミアム」。これは箔の上にカラー印刷を重ねることで、まるでカラー箔のような表現が可能になる技術。「例えば、箔の上に青を重ねることで、青いメタリック調の仕上がりが得られる。箔の種類にとらわれず、自由な色彩表現ができる」と有定社長は魅力をアピールする。
そして、もう1つの技術が「きらめき箔ぷち盛り」である。2度刷りのように重ねて盛ることで、色ではなく柄や模様の立体感を箔で表現できるというもので、紙ベースのポストカードや台紙などにも高級感を与えることができる。また、同社が所在する福井県越前市は和紙の産地でもあり、色紙などの大量生産も得意としており「この色紙を触ってもらえれば指先でもわかるほどの凹凸感があり、見た目にも触感にも訴える加工になっている」(有定社長)
協力企業とのネットワークで「推し活」グッズのアイテム拡大へ
同社は6月に開催された福岡プレミアム・インセンティブ(P・I)ショーに初出展。「きらめき箔」シリーズの各技術を用いたグッズサンプルを展示し、多くの来場者の関心を集めた。「これが全部デジタルなのか」「型なしでここまでできるのは驚き」といった声も多く聞かれたようで、有定社長も「質感を実際に手に取って見てもらえることが非常に大きかった」と手応えを話す。
また、同展の出展により、新たな協力企業とのつながりができたこともメリットだと話した。「推し活グッズは日々進化しているため、自社だけで対応するのは限界がある。信頼できるパートナーと組むことで、より多彩な提案が可能になる」(有定社長)。協力会社とのネットワークを広げていくことで、「推し活」グッズへのあらゆるニーズに対応していきたい考えだ。

次回は10月8日から10日に東京・池袋のサンシャインシティで開催されるプレミアム・インセンティブショーに出展する。今回はブースの大きさも広げて「きらめき箔」加工をはじめとする新しいサンプルも多数、展示する予定であり、さらなる反響が期待されている。
