ユニオン紙器、オンデマンド段ボール加工機を導入~生産力と品質強化へ
KBD AutoSlotter導入事例
ワンパス加工で生産性と安全性が向上
KBDオートスロッターの導入効果は、まず工程そのものに表れた。従来、第二工場で使用する一部の製品は、本社工場でスリット加工した後に第二工場まで横持ちする必要があったが今回、第二工場内で加工できるようになったことで、この移動にともなう時間と手間を削減。生産の流れを第二工場内で完結できる範囲が大きく広がった。
さらに大きいのが、縦・横方向への加工をワンパスで行える点だ。本社工場の既存スリッターは、基本的にシートの流れ方向への罫線入れや切り込みを行うため、加工内容によってはシートを2回通す必要があった。一方、KBDオートスロッターはXY方向への罫線入れや切り込みを1回の通紙で処理できる。
この違いは生産性だけではなく、品質にも効果をもたらす。段ボールは機械内を搬送する際、ロールで押さえられるため、2回通すとシートの厚みが多少潰れる場合がある。ワンパス化によって通紙回数を減らすことは、段ボール本来の厚みを保ち、よりきれいな仕上がりにつなげる上でもメリットとなっている。
また、オペレーションも容易だ。加工データをあらかじめUSBに登録しておけば、現場では必要な番号を呼び出して作業を開始できる。森社長は「今は実習生も多いので、『この番号で何枚加工する』と指示すれば作業できる。マニュアルも簡単にでき、この効果は非常に大きい」と評価する。実際に同機を使用するオペレーターは、「1回で縦・横方向の加工ができるのが最大の利点」と評価していた。

そして、効率化と同時に森社長が高く評価するのが「安全性」だ。従来はスリッターで加工した後、「パンチ」と呼ばれるギロチン状の機械を使って切り込みを入れる作業も行っていた。しかし、この工程には作業者が指を負傷するなど、大きな事故につながる危険がともなう。
KBD AutoSlotterは、こうした切り込み加工も自動で行える。「以前のような危険な作業をする必要がなくなり、安全性も確保できるようになった」と森社長。生産性、省力化、品質、そして作業者の安全まで、現場が抱えていた複数の課題を同時に解消した。
さらに、同社が手にした成果は工場内の改善だけではない。同機の導入は、これまで受けることのできなかった仕事を取り込む、新たな武器にもなり始めている。
加工領域の拡大で新規の受注も
同機の導入により、同社では対応可能な製品サイズが拡大した。本社工場の既存設備では最大約2,100ミリ幅、流れ方向約1,500ミリだったのに対し、KBD AutoSlotterでは最大2,500ミリ幅、流れ方向も約3,000ミリまでの加工が可能になった。
「これまでは大きなサイズの依頼をいただいても、『このサイズまでしかできません』と、加工できる範囲の中で提案していた。今回の導入で、よりお客様のニーズに沿った提案ができるようになった」(森社長)
設備能力の拡大は、早くも新たなビジネスにつながっている。これまで自社設備では対応できなかった大型案件への提案が可能になったほか、同業者からも引き合いが増加。現在、同社が取り組んでいる「事業継続力強化計画」における同業者との連携も背景に、他社から加工の仕事を受けるケースが生まれているという。
国内第1号機という存在そのものも、新たな役割を生んだ。SINACOでは、KBD AutoSlotterの導入を検討するユーザーを第二工場へ案内し、実機によるデモンストレーションを実施している。
SINACOの浅松社長によると、すでに数社を同工場へ案内しており、その後もほぼ毎月のようにデモを行っているという。「AB2500のサイズは、国内ではここにしかない。購入を検討されているお客様にはここへ来ていただいて実機を見てもらっている」と話す。

デモに訪れたユーザーからは、加工精度、とりわけ罫線の正確さが評価されているという。国内第1号ユーザーとして同社が蓄積する運用ノウハウは、自社の生産力強化だけでなく、KBD AutoSlotterの国内展開を後押しする役割も担い始めている。
そして、森社長がその先に見据えるのは、単なる量の拡大ではない。サンプルカッター導入を契機に設計部門を立ち上げ、今回のKBD AutoSlotterまで段階的に設備を整えてきたことで、「設計から製造まで」の一貫体制に手応えを感じているようだ。
「ボックスメーカーとしてA式の箱だけを作っていては、大手メーカーとの価格競争で勝つのは難しい。だからこそ、当社にできることに特化し、差別化できる製品を作っていきたい」
その言葉を裏付けるように、同社の提案・設計力も新たな成果を上げている。「TOKYO PACK2026」に関連して行われるパッケージングコンテストでは、同社が手掛けた作品が入選し、9月9日には表彰を受けた。
設計力を磨き、生産設備を整え、他社にはできない仕事を取り込む。そして、それを支える販売・技術パートナーとの強固な連携。国内第1号機となる同機の導入は、同社が目指す「差別化」への新たな一手となっていると言えそうだ。










































