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躍進企業REPORT

ITP:印刷通販「いろぷり」開設 - 創業100年の技術とノウハウで新市場へ

印刷ジャーナル 2020年7月5日
ネット印刷ITP 北井社長
いろぷり
ITPイメージングプロダクツ京都工場内
7名の専任スタッフでスタート

ITPのネットワークで競争力強化

 京都の老舗印刷会社(株)ITP(本社/京都市中京区、喜田眞司社長)は7月1日、印刷通販サイト「いろぷり」(運営会社:ネット印刷ITP(株)/京都市南区上鳥羽藁田20-3、北井元司社長)を立ち上げ、印刷通販事業への挑戦を開始した。開設当初は32アイテムでのスタートとなるが、将来的にはITPで蓄積してきた各種職種ゾーン・カテゴリーゾーンや、企画ページ・特集ページなどを盛り込みながら掲載商品アイテム数を増やし、多彩な商品を手軽に発注できる印刷通販サイトとしていく考えだ。

 ITPは100年以上の歴史を誇る京都の老舗印刷会社。今年4月にブランドイメージの確立と新時代への対応を目指し、社名を変更してリスタート。グローバル・クロスメディア・カンパニーとして、印刷業界の先駆を走っている。

 今回の印刷通販事業への参入は、2019年12月のITP社員研修プログラム「夢語り塾」において「祖業である印刷を盛り上げるには」がテーマで、印刷通販事業に挑戦したいと塾生から手が挙がったことから始まった。その研修報告はすぐに会社に受け入れられ、ITPの新事業として今年1月に開設準備室を開設。そして2月には、運営会社であるネット印刷ITPを設立するという超最短スケジュールで進んでいった。新事業として取り組むことを決定してから、新型コロナウイルスによる様々な影響などを受けながらも、わずか7ヵ月で開設することができたのは、すでに印刷通販事業を実現できる生産体制が整っていたことが背景にあるようだ。

 「数年前からのITPの印刷価格見直しの運用などにより、営業部門の競争力はすでに高まっていた。また、京都・名古屋・東京の3工場と2018年10月にITPグループ傘下になった遠藤写真工芸所・滋賀工場を合わせた国内4工場での生産体制も確立できていた。また、ITPグループの各工場に設備投資をして工場整備をしてきた結果、少ない投資で印刷通販事業に参入できる受け入れ体制がすでに整っていた」(ネット印刷ITPの北井社長)

 また、主なユーザーとなる一般企業が印刷通販の利用に慣れてくるなど、印刷通販を取り巻く市場環境が整ってきたことに加えて、「これからは印刷通販事業で儲ける、儲けないという問題ではなく、機能として持たなくてはいけない時代に突入しているという話も業界の方から聞いた。そこで従来の対面営業とは一線を引いた印刷通販サイトを立ち上げることを決めた」と、北井社長は印刷通販市場への参入を決めた経緯について説明している。

すでに「決定」している案件を安価で発注できるサイトに

 「いろぷり」は印刷通販サイトであるため、非対面でのやりとりで入稿されたデータを印刷・発送する。このため、対面での打ち合わせなどは必要なく、すでに印刷内容が「決定」している案件を手軽かつ低価格で発注するのに便利なツールとして、同社では既存クライアントについても、今後は対面営業との上手な使い分けを推奨している。北井社長は「対面での営業活動が必要ない分、低価格がセールスポイントとなる価格設定になっている」としており、従来の対面営業とは真逆の非対面サービスとしての定着を目指している。

 今年10月までの3ヵ月間は第一フェーズの期間として、チラシやポストカードなどの商業印刷物をメインに、のぼりやマグカップ、Tシャツなどの販促グッズなどスタンダードアイテムでスタートし、ネットワークを拡げて取扱いアイテムを充実させていく考えだ。北井社長は「今年10月には既にリニューアルを予定しており、最初の3ヵ月間はそのための助走期間として『いろぷり』の周知と定着を目指す」と話す。

 問い合わせ対応などの「お客様センター」は、基本的には、年末年始を除いて土・日・祝日も営業。入稿データに問題がある場合は24時間以内にフィードバック。支払い方法はクレジット、コンビニ、代引き、NP掛け払いなどに対応。法人契約による請求書払いなども検討していく。ネット印刷ITPの専任スタッフは7名体制でスタートしているため、当面はITPの各セクションも活用し、ITPグループ全体でバックアップしながら新規事業を成功させていく考えだ。

ITP×「いろぷり」のハイブリッドコラボレーションで進化へ

 今年10月のリニューアル以降は「確立・拡充期」の第二フェーズと位置付け、ITPで蓄積してきた各種職種ゾーン・カテゴリーゾーンや企画ページ・特集ページなどを盛り込んで掲載商品アイテム数も増やしながらサイト全体の間口を広げ、さらに多彩な商品を手軽に発注できる印刷通販サイトを目指していく。

 また、これからの未来案件(未確定案件)創世の提案や、非対面ではもの足りないという新規のクライアント、重要な案件にはITP全国拠点のITP営業が対面で未来案件をトータルサポートするオプションサービスの開始も予定している。

 北井社長は「ITPの多彩なコンテンツ、ノウハウを生かした商品として、翻訳、取材、編集、デザイン・DTP、スタジオ・ドローン撮影など、ITPグループの強みを最大限に生かしながら進化・ステップアップしたサービスを充実していきたい」としており、ITP×「いろぷり」によるハイブリッドコラボレーションをユーザーに提案することで、先行する印刷通販サイトとの差別化を図っていく。

新規会員登録で2,000ポイント付与のオープンキャンペーン実施

 「いろぷり」は現在、新規会員登録で2,000ポイント(2,000円相当)をプレゼントするオープンキャンペーンを実施している。

 「印刷会社からの仲間仕事も歓迎しているので、アウトソーシング先としても利用していただきたい。今後の計画としては、お互いに得意分野は協力しながら、他の印刷会社とのコラボレーションも進めていくことで、印刷業界全体の活性化にもつながる取り組みを行っていきたい」(北井社長)

 初年度の売上目標は6,000万円。今後の展開に業界の注目が集まりそうだ。