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シルバー印刷(富山)

パッケージ印刷の効率化と品質向上へ [リスロンG40アドバンス導入事例]

最新機能を多数装備〜ダブルデリバリーや重洗浄が効果発揮

 高品質な紙媒体を主軸としたパッケージ製造を強みとする、1978年創業の(株)シルバー印刷(本社/富山県富山市、筧田公生社長)。同社は、企画デザインから製品までを一貫生産する体制を整えており、2002年にはISO9001を取得し、品質管理体制を強化。さらに2025年1月からは、ダブルデリバリーや両面検査装置などを装備したリスロンG40アドバンス(菊全判5色オフセット枚葉印刷機)を本格稼働させ、さらなる効率化と品質向上を進めている。導入の背景や効果などについて、筧田社長、製造部部長兼工場長の松井毅氏、工場長代理の吉村竜也氏、機長の辻角恵介氏、プリントオペレーターの中村旨範氏に聞いた。

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左から筧田社長、松井氏、吉村氏、辻角氏、中村氏


小ロット・多品種に最適なリスロンG40アドバンス

 シルバー印刷は、医薬品、健康食品、化粧品、工業製品、スポーツ用品など、幅広い業界の顧客を持つことで、変化し続けるパッケージ印刷市場環境に柔軟に対応してきた。こうした、多岐にわたる顧客への対応力は同社の大きな強みであり、顧客からの多様なニーズに応えることで高い評価を受け、信頼を築き上げてきた。設備戦略について筧田社長は「年々小ロット・多品種・短納期に対応できる設備体制の強化を進めている」と話す。その一環として導入された5色機リスロンG40アドバンスには、UV乾燥システム、ダブルデリバリー、両面検査装置、フルAPC(全自動版交換装置)、PDC-SX(分光式色調管理装置)、インキローラー重洗浄システムといった品質向上と生産の効率化を見据えた機能が搭載されている。

 「初のKOMORI機として、2017年にダブルデリバリー、片面検査装置を搭載した水性・UVニス兼用コーター付きの5色機リスロンG40を導入した際、社員の品質に対する意識が180度変わった。今回のリスロンG40アドバンスは品質や商品力、稼働率の良さなど社内のいろいろな意見を聞き、評価全体を考慮して導入した」(筧田社長)

 同機は1月から本格稼働し、現在はリスロンG40を含めて、計3台のオフセット枚葉機が稼働している。筧田社長は「油性機2台をUV機1台に置き換えるダウンサイジングを行い、ダブルデリバリーを搭載したUV機が2台になった。UVで素早く乾燥させ、ダブルデリバリーで良品と不良品を自動で仕分ける。この流れは品質管理と短納期対応の強化を両立させる上で理想的である。顧客の多様なニーズに、より広範に対応できる体制が整った」とリスロンG40アドバンス導入後の生産体制について説明する。

仕分け作業の効率化を実現するダブルデリバリーの魅力

 松井部長は、UVとダブルデリバリーの相乗効果について「これまで油性印刷機での印刷後は、乾燥させて大判検査機で良品と不良品を仕分ける工程があった。新台は、UVの速乾性とダブルデリバリーでの自動仕分けにより、印刷完了後、乾燥時間を設けず、すぐに後加工に回せる点が非常に魅力的である」と評価。吉村工場長代理も「シングルデリバリーでは、検査装置があっても、良品と不良品がまとめて積み上がるため、不良品を取り出したり、紙を積み直したりする手間が発生してしまう。仕分け作業の効率化や作業負担の軽減を考えると、ダブルデリバリーは欠かせない」と話す。筧田社長は「仕様書や取扱説明書などの添付文書が減少するなかで、それらの代わりとしてパッケージの裏面への印刷が増加している。そうした状況において、表面だけでなく、裏面への油とびなどを確実に検知できる両面検査装置の導入は大きなメリットと言える」と変化を挙げて説明する。

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インライン両面検査装置とダブルデリバリー

重洗浄で色替え時間を短縮作業効率が大幅に向上

 リスロンG40アドバンスの導入は、二つの効率化をもたらしている。色替え作業の効率化について、「パッケージ印刷では、色替えが頻繁に発生し、とくに白色への変更時には時間がかかることが課題であった。ローラーに巻く助剤や洗浄剤などを試したものの、十分な時間短縮にはつながらなかったという経緯がある。しかし、重洗浄の機能により、色替え時間は半分に短縮できた」と松井部長。

 オペレーターの中村氏は「ローラーの本数が減ったことによってインキの洗浄が早く終わるようになり、仕上がりもきれいになっている。色の巻取りも今までの半分ぐらいの時間でできるので、非常に感動している」と賞賛する。また、メンテナンス作業の効率化については「アシスト機能の改良により、版面ニップ調整が、一度ニップを付ければボタン操作で完了するようになったなど、作業効率も大幅に向上している」と、アドバンスモデルの進化に対する実感を語った。

 さらに松井部長は、環境面の導入効果として、損紙削減とインキミスト低減を挙げ「自動見当合わせ機能が作業効率向上と同時に、色調整にかかるヤレ紙削減にも貢献している。イージーオペレーションを促進できるため、人材確保にも適している機械だと感じている。また、インキミスト除去装置などでは機械を清潔に保つことができ、品質維持や効率的な運用だけでなく、環境面においても効果を期待している」と話す。

 辻角機長も「回転数の向上やフィーダー装置の改良、パウダーレス化など、機能の進化を日々実感している」と話す。

信頼できるKOMORI機〜3台目、4台目の導入を目指す

 今後の展望について筧田社長は「パッケージ業界におけるデジタル印刷機の影響に注目しています。将来的にデジタル印刷機への切り替えも検討しており、インプレミアNS40やJ-throne29などKOMORIのデジタル印刷機に期待している」と明かす。

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リスロンG40アドバンスと製造部メンバー

 「今回、KOMORIのサポートにより、省エネ補助金を活用して導入を実現した。今後も、新鋭機の導入を視野に入れ、さらなる発展を目指して頑張っていく。また、経営理念である『顧客第一主義』を大切にし、営業面の強化を図っていく」(筧田社長)

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