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躍進企業REPORT

トヨテック:東京都江東区に「東京ショールーム」開設

印刷ジャーナル 2018年11月25日
豊田 営業部長
簡易手製本を実現する「ファストバインドシリーズ」
自動給紙付きA2カッティングプロッター「DG4060」
3Dテクスチャースキャナ「SURF 3D」

対面説明強化など目的に〜POD対応フォトブック製作システムなど展示

 (株)トヨテック(本社/千葉県野田市、豊田保社長)は今年8月、顧客企業への対面説明強化などを目的に、東京都江東区に「東京ショールーム」を開設した。ここには印刷会社がフォトブックビジネスに取り組むためのエントリーモデルである「ファストバインドシリーズ」ほか、凹凸情報/グロス情報もスキャニングできる3Dテクスチャースキャナ「SURF 3D」、PODサイズながらも自動給紙付きのA2カッティングプロッター「DG4060」など、IGAS2018でも注目を集めた主力製品が展示されており、遠方からの顧客も気軽に立ち寄れるショールームとして活用していく。来年早々にも、内覧会を開催する計画だ。

 同社はもともと、東京都葛飾区の地に昭和61年に創業した企業。主にフォトラボ業界の機器システム開発・販売を手掛けていたが、大きな機械を取り扱うにともない広い工場が必要となり、千葉県野田市に移転したという経緯がある。しかし東京駅からは電車で1時間程度かかるため、豊田啓営業部長は「遠方の顧客からすると1日仕事になってしまうため、気軽に来てもらうことができなかった。このため、立地ゆえに製品を見てもらうチャンスを逃しているもどかしさがあった」と今回の東京ショールーム開設の経緯について説明する。

 東京都江東区南砂の南砂商店街に開設した東京ショールームは、東京メトロ東西線「東陽町」より徒歩4分。車であれば東京駅から10分程度の好立地であるため、アクセスはぐんと良くなった。豊田営業部長は「他機種の要望などがあれば本社に案内させていただく対応をとっている。高速道路が空いていれば、30分程度で到着できる」としており、東京ショールームを東京駅からの中継地点として活用することで、本社工場への集客拡大にもつなげていく考えだ。

 東京ショールームには、オンデマンド印刷機を持つ印刷会社などがフォトブックに取り組む場合に最適といえる手製本のエントリーモデル「ファストバインドシリーズ」をはじめ、IGAS2018で注目を集めた製品を中心に展示している。とくに「ファストバインドシリーズ」は、改めて印刷業界に向けてプッシュしていきたい商品であるという。

 豊田営業部長は「地域密着の印刷会社にとって、フォトブックはその特性を最大に生かせる商材と言える。旅行やウエディング、ペット、企業の研修旅行など、地元のイベントや行事のときに、ここにくればこういうものができるという印象をつけるためのツールとしてフォトブックを活用しませんかと印刷会社に提案していきたい」と、地元密着を活かすツールとしてまずはエントリーモデルであるファストバインドによるフォトブックを提案し、その印刷会社のフォトビジネスが拡大したときには、同社がもともと得意とするセミオート、フルオートのフォトブック製作システムの販売につなげていく考えだ。

機器開発メーカー出身の強みで差別化

 同社では現在、海外製品を中心に数十種類の印刷前・後加工機のソリューションを取り扱っている。しかし同社では、海外製品をそのまま販売することはあまりないという。機器開発メーカーとして培ってきたノウハウを生かし、工夫を凝らしてカスタマイズすることで「市場にない新しい製品」を生み出すことで独自性を打ち出している。

 「パーツを後付けで作ることなどは日常茶飯事である。知識やノウハウを生かし、メーカーに提案することもある。これができるともっと良い機械になるね、ということをカタチにできる技術力が強み。同等機種のない製品を生み出すことで差別化を図っている」(豊田営業部長)

 東京ショールームに展示されている自動給紙付A2カッティングプロッター「DG4060」もその1つだ。POD業界でよく使われるA3伸びサイズで自動給紙付きのカッティングプロッターがないことに着目したという。豊田営業部長は「コンパクトで効率良く全抜き、半抜きができる。小さめのパッケージや少部数シールなどに活用できる」と説明する。

 また、色だけでなく凹凸情報/グロス情報もスキャニングできる3Dテクスチャースキャナ「SURF 3D」は、大型スキャナを開発するイタリアのメーカーに日本向けとして小型化の要望を投げ掛け、3年越しに商品化されてIGAS2018で発表された製品だ。

 豊田営業部長は「普通のスキャナはライティングを最初に決めてからスキャンするため、でき上がりが良くないとスキャンをやり直す必要がある。しかし、SURF 3Dは最初にスキャンしたときに全てのライティング情報を取得できるため、1回スキャンしたあとにモニターを確認し、どのライティングにするかを選択できる。このため、生産現場からは取り直さなくていいため非常に早く、時間短縮につながっていると評価されている」と同スキャナが持つ独自性について説明する。

 同社は画像イメージに35年もの間たずさわってきたため、この分野にはとくに自信を持っているようだ。豊田営業部長は「画像イメージそのものの処理技術はもちろん、そのイメージをその先でどのように生かしていくかなどの視点で新しい商材を手掛けている」と説明する。

 同スキャナのシリーズはすでに国内で12台、世界で100台以上が納入されている。この実績から見ても、同スキャナの実力を伺い知ることができるだろう。

 なお、同社では導入後のアフターサービスについても、自社メンテナンス部隊により迅速な対応を行っている。さらに昨今では、商材によっては各販社でメンテナンスまで行えるものも出てきているため、地方でもより迅速な対応が可能になっているようだ。

来年早々にファストバインドの内覧会を開催

 同社は来年早々に、東京ショールームを開設して初の内覧会の開催を計画している(日時は未定)。同内覧会では、ファストバインドを中心に紹介し、手製本で簡単にアルバムが作れる工程を実演するほか、皮の表紙を付けることで手製本でも高級感あるアルバムが作れるというワークショップも開催する予定だ。

 今後の展開について豊田営業部長は「今後は1人でも多くの方にショールームに来ていただきたい。既存商品だけでなく新規商材も見ていただき、お客様のご意見をカタチにしていきたい。2019年も10ほどの展示会に出展予定のため、展示会とショールームの両輪で事業展開していく方針である。販売についてもプリンターメーカーとタイアップしながら導入を進めていきたい」と説明する。東京ショールームの開設は、同社にとって新たな出発となる大きな転機となりそうだ。

【東京ショールーム】
▽所在地=東京都江東区南砂2-3-1(南砂商店街内)
▽連絡先=電話04-7121-0755(本社)