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躍進企業REPORT

Acket社:ナビゲート印刷とハイカラーマルチドライブで生産効率20%向上

印刷ジャーナル 2017年12月5日
Tom Acket 氏
スピードマスターXL106LYYL
「Push to Stop」技術を搭載し、「ナビゲート印刷」実践

短納期の食品紙器に特化

 ハイデルベルグ社(ライナー・フンツドルファーCEO)は、11月8日の「Packaging Day」開催(ウィスロッホ工場)にともない、同社印刷機で「Push to Stop」コンセプトに基づく「ナビゲート印刷」を実践する紙器パッケージ製造会社2社を巡るプレスツアーを催行した。今回はその1社、オランダのAcket社の取り組みをレポートする。

 オランダ南部の都市・オスに本社を置くAcket社は、1884年創業の紙器パッケージ製造会社。厳しい経営環境下においても積極的に企業買収や設備投資を実施することで飛躍的な成長を遂げ、現在は、マーケティングからパッケージの設計、デザイン、製造、ロジスティクスといったサプライチェーンマネージメントで確固たる地位を築き、オランダにおけるマーケットシェア14%を誇る。従業員は135名で、年間1,500万kgのボード、9,100万シート、5億5,000万個のパッケージを製造している。

 同社最大の特徴は、全体のおよそ8割を占める食品関係の紙器パッケージに特化していること。このことについて5代目をつとめるTom Acket氏は、「インドやポーランドからの安売り競争に巻き込まれないために、デリバリの優位性を活かした短納期の仕事にフォーカスしてきた。結果、鮮度なども影響する食品関係の仕事が多くなった」と説明している。

 同分野でもフォイリングやエンボス加工、様々なニスの活用、デザイン、構造といった技術が差別化のために必要となっており、さらに「少ない在庫と短い納期」にフォーカスする同社では、設備投資においても「低ダウンタイム/高アップタイム」「高いランニングスピード」「セットアップ時間の短縮」といった要件が求められる。いわゆる、高速で安定した生産設備だ。そこで同社は今年、2台目となる菊全判6色印刷機「スピードマスターXL106LYYL」および製函機「MK Diana 115 X」を導入している。

 導入したスピードマスターXL106は、ハイデルベルグが提唱する「Simply Smart」を具現化し、オフセット印刷の完全自動化を実現する「Push to Stop」コンセプトに基づいて設計された印刷機。「短納期」にフォーカスする同社にとって、可能な限り自動化した上で、オペレータに対して最も効率の良い作業を機械側で計算して指示する「ナビゲート印刷」は、非常に有効なツールになっているようだ。

 「私は数字が重要だと考える。その測定は知識を意味する。我々は、スコアボードを使って印刷機のパフォーマンスを記録しており、ハイデルベルク製品に関する当社の評価は肯定的である。最新鋭のスピードマスターXL106では、最新の『Push to Stop』技術を搭載し、「ナビゲート印刷」を実施している。また、版交換・ブラン洗浄・圧胴洗浄・インキング洗浄のすべてが同時に処理できる『ハイカラーマルチドライブ』によって生産性を20%向上させることができた」(Tom Acket氏)